「ネガティブな考えが頭から離れない」「いつも同じようなことで悩んでしまう…」
もしかしたら、それは「認知の歪み」かもしれません。認知の歪みは、私たちの心の状態に大きな影響を与え、生きづらさを感じさせる原因の一つです。認知の歪みについては別の記事ですでに取り上げております。

今回は、認知の歪みを修正し、より楽な心の状態を目指す「認知再構成法」について、その本当の実力と効果を最大限に引き出すための5つのコツを詳しく解説します。このコラムに訪問いただいた皆様が、認知再構成法を通して心の変化を実感し、より穏やかな日々を送るための一助となれば幸いです。
Contents
認知再構成法とは?|考え方のクセに気づき、修正する心理療法
認知再構成法は、認知行動療法(CBT)の主要な技法の一つです。私たちの自動思考や、非現実的な考え方(認知の歪み)に焦点を当て、それらに気づき、より柔軟で現実的な考え方へと修正していく認知行動療法では一般的なアプローチです。
まるで、曇ったレンズを通して世界を見ていた状態から、クリアなレンズに変えるように、認知再構成法は私たちの思考の歪みを修正し、より客観的に現実を捉える手助けをしてくれます。
なぜ効果を実感しにくい?|認知再構成法の落とし穴
認知再構成法は、うまく活用できれば非常に効果的なアプローチですが、実践する上で効果を実感しにくいと感じる方もいらっしゃいます。その背景には、以下のような理由が考えられます。
- 表面的な思考への取り組み: 頭に浮かんだ思考をただ書き出すだけで、その奥にある根深い信念やスキーマにまで深く掘り下げられていない。
- 修正後の思考が納得できない: 理屈では理解できても、感情的に修正後の思考を受け入れられず、 元の考え方に戻ってしまう。
- 継続的な実践ができていない: 一度や二度試しただけで、自動思考のパターンはなかなか変わらないため、効果を感じる前に諦めてしまう。
- 感情との切り離し: 思考と感情は密接に結びついていますが、思考だけを修正しようとして感情を無視してしまう。
- 自己批判的な態度の継続: 認知の歪みに気づいても、それを「こんなことを考えてしまう自分はダメだ」と自己批判してしまうことで、ネガティブな感情が強化されてしまう。
効果を実感するための5つのコツ|心の変化を確実にするために
認知再構成法の実力と効果を最大限に実感し、心の変化を確実にするためには、以下の5つのコツを意識して取り組むことが重要です。
コツ1: 自動思考を「丁寧に」書き出す
頭に浮かんだ思考を漫然と書き出すだけでなく、その思考がどのような状況で、どんな感情と結びついているのかを丁寧に記録しましょう。
- 例:
- 状況: 仕事でミスをした時
- 自動思考: 「やっぱり私はダメな人間だ」「またみんなに迷惑をかけてしまった」
- 感情: 落ち込み、不安、罪悪感
このように、状況と感情をセットで記録することで、思考が感情に与える影響をより深く理解することができます。
コツ2:「なぜ?」を繰り返し、根深い信念に迫る
書き出した自動思考に対して、「なぜそう思うのか?」「その根拠は?」と自問自答を繰り返すことで、その思考の奥にある根深い信念(核となる考え方)に気づくことができます。
- 例:「やっぱり私はダメな人間だ」→ なぜそう思うの? → 「いつもミスばかりするから」→ なぜいつもミスばかりするとダメなの? → 「人に迷惑をかけるから」「期待に応えられないから」→ それは本当に絶対的なこと?
このように深く掘り下げることで、より根本となる部分に働きかけることができ、思考の変化が起こりやすくなります。
コツ3:修正思考は「具体的」かつ「納得できる」ものを見つける
自動思考を修正する際には、単に「まあ、なんとかなるか」といった抽象的なものではなく、「今回のミスは一時的なもので、次は気を付ければ防げる」「迷惑をかけたかもしれないけど、きちんと謝罪すれば関係が悪化するとは限らない」といった、具体的で自分自身が感情的にも納得できる思考を見つけることが重要です。
コツ4:感情にも目を向け、思考とのつながりを意識する
思考と感情はコインの裏表のような関係です。思考を修正するだけでなく、その時に感じた感情を認め、受け止めることも大切です。感情日記をつけたり、感情と連動した自動思考を再度検討することで、より深いレベルでの変化を促します。
コツ5:日常生活で「意識的に」実践し、繰り返し修正する
認知再構成法で得た意識や修正思考を、日常生活の様々な場面で意識的に試してみましょう。そして、その結果(どのように考え方が変わり、感情がどう変化したかなど)を記録することで、効果を実感しやすくなります。
- 例: 以前なら「どうせ無理だ」と考えて諦めていたことに、修正した思考を意識して挑戦してみる。そして、その時の気持ちや結果を記録する。
認知再構成法をより効果的に行うために|専門家のサポートも活用を
認知再構成法は、自分一人でも取り組むことができますが、専門家のサポートを受けることで、より深く、効果的に進めることができます。
- 客観的な視点からのフィードバック: 自分の思考の歪みに気づきにくい場合でも、専門家は客観的な視点から指摘し、洞察や内省を促してくれます。
- 個別具体的なアプローチ: 一人ひとりの状況や思考パターンに合わせて、最適な方法でサポートしてくれます。
- 感情面のサポート:過去のトラウマ等で情緒面の振り返りに困難さがある場合、安全な環境で感情に向き合いながら認知再構成を進めることができます。
仙台泉メンタルサポートオフィスでは、認知行動療法に基づいたカウンセリングを提供しており、認知再構成法に適した整理シートを用いてサポートも行っております。もし、「一人で取り組むことが難しい」と感じている場合は、お気軽にご相談ください。
仙台泉メンタルサポートオフィスからのメッセージ|心の変化を信じて
認知再構成法は、あなたの思考のクセに気づき、より柔軟で楽な考え方を身につけるために効果的なアプローチです。焦らず、根気強く取り組むことで、必ず心の変化を実感できるはずです。しかし、一人で取り組もうとすると、ターゲットとなる思考がぼやけたり、効果をなかなか実感できず、途中であきらめてしまう場合があります。
そのようなときは、仙台泉メンタルサポートオフィスにご相談ください。当オフィでは、皆様の心の成長と変化をサポートできるよう精一杯取り組んでまいります。
