絶望的な転職ループから抜け出すまで
新しい職場に馴染めず、転職を繰り返す彼女の心は常に不安定でした。上司や同僚から「どう思われているか」が気になり、仕事上の小さなミスも「もうダメだ」と過度に自分を責めてしまう。そんな日々が続き、ついには心身のバランスを崩して医療機関を受診。診断されたのは適応障害でした。
「もしかしたら、自分の考え方に原因があるのかもしれない」
そう気づいた彼女は、薬物療法と並行してカウンセリングを希望されました。
思考の癖に気づく、小さな一歩
カウンセリングでは、まず認知行動療法を用いて、彼女の思考パターンを見つめ直すことから始めました。職場での出来事、その時の気持ち、そして頭に浮かんだ考えをシートに記録する。最初は難しかったその作業も、継続するうちに「自分を客観的に見る」習慣が身につきました。
記録を通じて、「完璧でなければ価値がない」「失敗したら終わりだ」といった極端な思い込み(自動思考)に、少しずつ彼女自身が気づけるようになっていきました。
「まあ、いっか」と受け流せるようになった私
自動思考に気づけるようになってからは、それを柔軟な考え方に置き換える練習を重ねました。「絶対に失敗してはいけない」を「失敗しても、次はどうすればいいか考えれば大丈夫」に。「評価されなければ価値がない」を「価値は他人が決めるものではなく、自分の中にある」と。
カウンセリング終盤、彼女は晴れやかな顔でこう語ってくれました。
「シートに書くことで、いかにどうでもいいことで悩んでいたかが分かったんです。完璧じゃなくても、少し肩の力を抜いていいんだと思えるようになりました。」
現在は、転職を繰り返すこともなく、同じ職場で安定して働き続けています。他者の評価を過度に気にすることなく、自分らしく働く喜びを取り戻した彼女の姿は、私たちに大きな喜びを与えてくれました。
