ストレスマネジメント

不安や恐怖の源!?ビビりな偏桃体を制御する方法!

SAIKORO

今回は、脳の部位である偏桃体について解説していきます。偏桃体は私たちの感情に大きな影響を与える部位です。では、偏桃体は私たちのどのような感情に影響与えているのでしょうか?

皆さんはこれまで、感情のコントロールを失い、ついカッとなって何らかの行動を起こしてしてしまったことはありませんか?仕事でうまくいかずつい家族に当たり散らしてしまったり、ゲームで勝てずにコントローラを叩きつけてしまったり、恋人の態度が気に食わず「なんでわかってくれないのよ!」と声を荒げてしまったり…。大抵の場合、そのような行動の後には後悔してしまいますよね。上記の例以外でも、いつもの自分では考えられないくらいに感情のままに動いてしまうことってありませんか?このような理性よりも感情が先立って行動してしまったとき、それはあなたが「偏桃体に乗っ取られていた」といえるかもしれません。

偏桃体とは

 私たちの脳は、2つの層に大別されることをご存じですか?いわゆる爬虫類や哺乳類(人間を含む)が共通で持ち合わせている脳構造と、人間が独自発展させていった脳構造です。前者は古い脳、後者は新しい脳という呼ばれ方もしています。今回は脳に関する具体的な説明は省きますが、古い脳とは生命維持に必要な呼吸や体温調整を司る脊髄反射的な部位と、情動を司る部位を表します。一方で、新しい脳とは思考や言語、記憶とった人間らしい理性的な面を司る部位です。偏桃体は、情動を司る古い脳に含まれる部位になります。偏桃体は脅威に対して迅速に対応するようにインプットされており、この働きのおかげで、人間は太古の時代から現代まで生き残ることができたとも言えます。大昔、人間は今みたいに頑丈な住処があったり、銃や大砲などの強力な武器を持っていたわけではありません。身を守る術が乏しい中、いつ捕食さてもおかしくないような動物が潜む森林や山の中で暮らしていました。そのような中で生き残っていくためには、偏桃体のような身の危険を知らせてくれる機能が必要不可欠だったわけです。それに比べて、現代はそのような生死を分ける脅威に出会うことは稀になってしまいました。しかし、偏桃体の機能は大昔のままでアップデートされていません。このような状況の中で、偏桃体の機能が悪影響になる場合もみられるようになりました。

偏桃体の働き

 何かを見たり、聞いたり、触れたり、味わったりすると、その感覚情報はまず、脳の中継地点である視床に向かいます。視床はその情報を新皮質(新しい脳)に中継します。そこから適切な感情反応を生成するために偏桃体(古い脳)に送られます。

 しかし、脅威に直面した時、視床は偏桃体と新皮質の両方に情報を送ります。偏桃体が危険を感じた場合、新皮質がその事実を覆す前に「闘争・逃避反応」という本能的な反応開始します。「闘争・逃避反応」とは、文字通り「戦うか逃げるか」するために体に準備を促す反応です。この反応が始まると、ストレスホルモンを引き起こすアドレナリンやコルチゾールを放出します。これらのホルモンは心拍数を高めたり血圧を高めます。また、瞳孔が開き、胃腸の働きを弱め、筋肉の緊張を招きます。これらの反応は、脅威と「闘うか逃げるか」するために体を準備するためのものです。

 このような反応は現代で直面している脅威にも適応されます。しかし、現代で直面する脅威とはほとんどが生命に危険を及ぼすようなものではありません。私たちの体は、今でも、私たちが闘わなければならない物理的な脅威が無いにもかかわらず、「闘争・逃避」の準備をしているのです。

ストレスと偏桃体

 上記の偏桃体が及ぼす心身への影響は、あるものへの反応の仕方に類似しています。ストレス時の反応ですね。慢性的なストレスは、偏桃体に支配されやすい脳の状態を作り上げてしまいやすくなります。また、不安症やパニック障害、恐怖症なども偏桃体の反応が強くなっている可能性もあります。さらに、慢性的なストレスは、脳内の過活動な恐怖や不安回路を引き起こし、海馬や前頭前野などの恐怖の阻害に役立つ脳の領域を低下させる可能性があるともいわれています。

 つまり、ストレスのかかる状態が続くと、偏桃体の反応ばかりが脳で強化されてしまい、その他の対処反応が作動しにくくなっていくということです。このような、偏桃体の過剰反応を避けるためには、常日頃からのストレスマネジメントが重要になります。

偏桃体を落ち着かせるために

 偏桃体の脳内支配を防ぐためには、感情的な知性を高めることが重要とされています。感情知性とは、自らの感情を理解し、管理していくことです。感情知性の高い人は、脳の感情領域と思考領域の間に強いつながりを持てています。このような感情と思考のつながりを高めることで、自身の感情や思考に気を配ることができるようになり、情動のコントロールに繋げやすくなるのです。では、感情知性はどのようにして伸ばしていくことができるのでしょうか?その方法一つがマインドフルネスです。

マインドフルネスは、自分がどこにいるのか何をしているのかを十分に認識し、自分の周囲で起こっていることに過度に反応したり圧倒されたりしない能力です。マインドフルネスは、下記の3つの主要な方法で感情知性を向上させることに役立つとされています。

・自分の感情を理解する能力の向上

・他人の感情を認識する方法学ぶ

・感情抑制能力の向上

 毎日マインドフルネスに取り組むことで、このような脳の部分の発達につながるとされています。

 また、日ごろからストレッサー(ストレスの素)を認識し、それが慢性的なストレスになっていかないか注視しておきましょう。ストレスの素を認識できていることで、今後のストレスマネジメントにも役立ちます。

 そして、偏桃体のハイジャックを弱めるためには、生活習慣にも気を配ることが重要です。ストレスの多い状況で即時軽減を図るための呼吸法や全体的なストレスを軽減するための健康的な習慣(運動、食事等)を取り入れていきましょう。

 このような、日々の習慣としてマインドフルネスやストレスマネジメントの生活習慣を実践してみてください。

偏桃体に支配されたときの対処法

 日ごろからストレスマネジメントに気を配っていても、偏桃体の活性化を完璧に防ぐことはできません。そのような時、偏桃体の支配からできるだけ早く逃れるための対処方法をいくつかご紹介しておきます。

1.名前を付ける

 偏桃体の支配を引き起こした引き金になったものを特定しましょう。自分自身の口調や胸や胃の圧迫感、筋肉の緊張や歯の食いしばり等の変化に注意してください。そして、そのような反応が起こった瞬間に「私は今偏桃体に支配された」と自分に言い聞かせてください。名前を付けて言葉に置き換えることで、理性と感情の繋がりを高めることに役立ちます。

2.6秒ルール

 偏桃体の支配中に放出される脳内物質は、約6秒で霧散します。この時間を使って別のもの(その場にある物体や楽しいこと等)に焦点を当てることで、感情的な反応の発生を防ぎやすくなるでしょう。

3.深呼吸をする

 ゆっくりリズミカルな呼吸は副交感神経を活性化させます。このタイプの呼吸は神経を落ち着かせる効果があるため、さまざまな状況で活用できるでしょう

4.タイムアウトをしてみる

 ストレッサーを目の前にして感情的に抑えられない場合は、可能な限りストレッサーから距離を取りましょう。視界から外すこと物理的に距離を取ることで感情のコントロールは取り戻しやすくなります。

クロ

大昔に人間を守るために作られた機能が、現代では人間に悪影響を及ぼす素にもなっているなんて皮肉な話だな。

SAIKORO

それだけ人間の文明が発展してきたんだと思うよ。地球上の生物として外敵から常に生命の危機に晒されることのない唯一の動物じゃないかな。研究者の中には、人間の体は現代文明に適応できていないと言う人も出てきているからね。それだけ今の人間の生活は生物としては特異なんだと思うよ。

クロ

驚異の薄らいだ現代文明の中で、偏桃体は自分の存在を必死でアピールしているのかもしれないな。

SAIKORO

詩的だね~。

コロ

ところでぼくたちは古い脳しかないのに言葉が話せてるんだね!クロはすごくむずかしこと考えてるよね!不思議だね~

SAIKORO

不思議だね~。