事例紹介:慢性的な「生きづらさ」の正体に気づき、自分を再構築するプロセス
※この事例は、複数の相談ケースを統合・一般化したモデルケースです。クライアントのプライバシーに配慮し、特定の個人が特定されないよう構成しています。
相談のきっかけ(30代・女性・会社員)
仕事や子育てなど、周囲からは「うまくこなしている」ように見られながらも、内面では常に言いようのない不安や、慢性的な「生きづらさ」を抱えていました。ふとした瞬間に過去の親との関係や、辛い体験がフラッシュバックし、今の生活に集中できないことに限界を感じて来談されました。「自分がなぜこんなに苦しいのか、その正体を知りたい」という切実な思いを持たれていました。
カウンセリングの経過
カウンセリングでは、まず現在の感情や思考を可視化するアセスメントから始め、段階的に深い心理的アプローチへと移行していきました。
- 自己の客観視(外在化): アセスメントシートを用いて、日々の「考え」や「感情」を書き出す作業を行いました。ご本人からは「書き出すだけでも、自分の中で絡まった糸が整理される感覚があり、客観的に自分を捉える大切さを実感した」との言葉がありました。
- 認知再構成法による気づき: ご本人の内にある強い思い込み(認知の歪み)を整理するなかで、目から鱗が落ちるような発見が続きました。自分が無意識に自分を縛り付けていたルールに気づくことが、変化の第一歩となりました。
- スキーマ療法への展開: 表面的な思考の奥にある、幼少期からの経験で形作られた深い価値観(スキーマ)に焦点を当てました。過去の辛い体験を思い出す作業は時に痛みを伴いましたが、カウンセラーという安全な基地がある中で、その体験を「今の自分」から切り離して眺める練習を重ねました。
- スキーマとの対話: 「今の自分を苦しめている古い守り方(スキーマ)」と対話するワークを通じ、生きづらさの原因を一つずつ紐解いていきました。これにより、過去の出来事に囚われる時間が劇的に減少していきました。
結末と現在の状況
「一人では絶対にここまで辿り着けなかった」と振り返るご本人は、今、過去の重荷を降ろし、軽やかな足取りで日常を歩まれています。 かつては過去の記憶に飲み込まれそうになっていた場面でも、一歩引いて「これは過去のパターンだな」と冷静に眺めることができるようになりました。現在は、自分の感情を大切にしながら、子育てや仕事においても「等身大の自分」で向き合えるようになりました。
カウンセラーの視点
長年抱えてきた「生きづらさ」の根底には、自分を守るために必死に身につけた古いパターンが隠れていることが多くあります。この事例では、認知行動療法で現状を整理し、スキーマ療法で根本的な原因にアプローチするという二段構えの支援が功を奏しました。勇気を持って過去の体験と向き合い、それを「今の自分」から切り離して眺められるようになったことで、クライアント自身の「健やかな大人」の部分が大きく成長した素晴らしいケースです。


