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IQとは「知能」のすべてではない
「IQ」という言葉を耳にすると、多くの人は「頭の良さを数値で表したもの」と考えるかもしれません。しかし、IQはあくまで知能の一部を測定した指標であり、人間の知的な力全体を示す“絶対的な値”ではありません。
心理検査である**WAIS-Ⅳ(ウェクスラー式成人知能検査 第4版)**は、単なるIQの算出にとどまらず、知能の多様な側面を詳しく捉えることができるツールです。そしてその理論的な背景にあるのが、CHC理論(キャロル=ホーン=キャテル理論)です。
CHC理論とは?──知能の「構造」をとらえる理論
CHC理論とは、心理学者のキャロル(John B. Carroll)、キャテル(Raymond Cattell)、ホーン(John Horn)によって提唱された、現代の知能研究の中心的理論です。
この理論では、知能は次の3階層から構成されているとされています。
【第1階層】狭義能力(ナロースキル)
- 単語の記憶力、視覚処理速度、算数の暗算力など、個別かつ具体的な能力。
【第2階層】広義能力(ブロードスキル)
- よく知られる「流動性知能(Gf)」と「結晶性知能(Gc)」のほか、
- 処理速度(Gs)
- 作動記憶(Gwm)
- 長期記憶(Glr)
- 視覚処理(Gv)
- 聴覚処理(Ga)などがあります。
【第3階層】一般知能(g因子)
- 上記のすべての知的能力の共通要素。従来のIQに近い概念です。
このように、「IQ=1つの数字」で終わらせないのがCHC理論の最大の特徴です。
WAIS-ⅣとCHC理論の関係
WAIS-Ⅳは、このCHC理論の枠組みを元に、次の4つの指標を評価します。
- 言語理解(VCI):言葉の知識や理解力
- 知覚推理(PRI):視覚的な問題解決能力
- 作動記憶(WMI):情報を一時的に保持・操作する力
- 処理速度(PSI):情報処理のスピード
これらはCHC理論の「広義能力」に対応しており、個々人の“知能のかたち”を具体的に可視化するためのデータとなります。
IQテストの結果を「自己分析」に活かす
多くの人が「IQ」という数値に一喜一憂しがちですが、本当に大切なのは、その背景にある自分の特性を知ることです。
たとえば、
- 作動記憶が低い ⇒「メモを活用する」「スケジュール管理を見直す」
- 処理速度が高い ⇒「短時間でタスクをこなせる業務が得意」
といったように、検査結果は自己分析や日常生活の工夫のヒントになります。
また、「得意なこと」がわかれば、それを軸に目標を立てたり、環境調整を行うことも可能です。
数値だけで終わらせない「自己理解」のために
WAIS-ⅣによるIQ測定は、単なる優劣を測るためではありません。自分の知的特性を客観的に知ることで、無理のない目標設定や、ストレスを抱えにくい環境の選択が可能になります。
「なんだか生きづらい」「仕事でつまずきやすい」
そんな違和感の正体を、知能検査を通して探ってみませんか?
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仙台でWAIS-Ⅳを受けられるカウンセリングをお探しの方へ
仙台泉メンタルサポートオフィスでは、WAIS-Ⅳを活用した自己理解・自己分析支援を行っております。検査結果をもとに、必要に応じて認知行動療法(CBT)やストレスマネジメントのサポートも提供しています。
「IQを高める」のではなく、「IQを活かす」ために。
あなたらしい知的特性を、一緒に探っていきましょう。