「カウンセリングって、ただ話すだけで意味があるの?」そんな疑問を抱く方も少なくありません。しかし、心理学のさまざまな理論は、「安心して話せる場所」が私たちの心にどれほど大きな影響を与えるかを示しています。本記事では、ウィニコットの【ホールディング】、ビオンの【コンテイニング】、そして現代神経科学の【ポリヴェーガル理論】を踏まえ、カウンセリングが持つ本質的な意味とその効果を解説します。
Contents
ウィニコットの「ホールディング」 ─ 心の安心基地
イギリスの精神科医・小児科医であるドナルド・ウィニコットは、「ホールディング」という概念を提唱しました。もともとは母子関係を通じて、赤ちゃんが身体的・心理的に守られ、安心感を得る過程を表したものです。
ホールディングは、単なる身体の抱っこを超えて、「環境全体が赤ちゃんを安全に包み込むこと」を意味します。大人であっても、心理的に安心できる空間に身を置くことで、緊張がほぐれ、自分自身の内面と向き合う力が育まれます。
カウンセリングの場は、まさに大人にとっての「ホールディング空間」です。評価や批判の心配なく、素の自分をさらけ出せる場所があることが、心の健康回復の第一歩となります。
ビオンの「コンテイニング」 ─ つらい感情を受け止める
精神分析家のウィルフレッド・ビオンは、感情を「コンテイニング(包み込む)」することの重要性を説きました。これは、耐えがたい不安や混乱を、誰かが一時的に受け止め、整理し、理解できる形に変換するプロセスです。
カウンセラーは、クライエントの話をただ聞くだけでなく、言葉にならない混乱や苦しさをその場で受け止め、必要に応じて共感やフィードバックを返します。この関わりによって、クライエント自身も「自分の感情を安全に扱える」ようになっていきます。
ポリヴェーガル理論 ─ 安心感が脳と身体に与える影響
近年注目される【ポリヴェーガル理論】は、自律神経、特に「迷走神経」の働きを通じて、私たちの安心・不安の感覚を説明します。
安全な環境にいるとき、私たちの身体は副交感神経が優位になり、呼吸や心拍が安定し、社会的交流への意欲が高まります。逆に、危険や不安を感じると、交感神経が働き、緊張や逃避・防衛反応が強まります。
カウンセリング空間が「安心できる場」として機能することで、身体的にも心理的にもリラックスした状態になり、自分の気持ちを整理したり、現実的な問題解決に向かう準備が整うのです。
カウンセリングは「安心して話せる場所」であるべき理由
このように、ウィニコット、ビオン、ポリヴェーガル理論は、安心感が人の成長や回復に不可欠であることを示しています。特に以下のような場面で、カウンセリングが力を発揮します。
✔ 誰にも言えない悩みを抱えている
✔ 否定されずに、ただ自分の気持ちを整理したい
✔ 漠然とした不安やモヤモヤを安心して話せる場所が欲しい
✔ 焦らず、じっくりと自分のペースで変わりたい
仙台泉メンタルサポートオフィスの取り組み
当オフィスでは、認知行動療法(CBT)の技法を基盤としながらも、クライエントさんが「安心して話せる場所」であることを何より大切にしています。時に具体的な問題解決に取り組みつつも、その前提として「受け止めてもらえる安心感」がなければ、どんな技法も機能しません。
宮城・仙台で「安心して話せるカウンセリング」をお探しの方は、ぜひご相談ください。
まとめ
カウンセリングの本質は、単に「話す場所」ではなく、安心感に包まれ、自分の心とじっくり向き合える空間を持つことです。自分を大切にする第一歩として、安心できる場に身を置くことの重要性を、ぜひ知っていただけたらと思います。