カウンセリングは「心の成長痛」
カウンセリングと聞くと、自分の話をただ優しく聞いてもらえる場所、というイメージを持つ方が多いかもしれません。もちろん、安心できる場所であることは何よりも大切です。しかし、実はそれだけではない、もう一つの側面があります。
それは、時には「痛いところ」を指摘されることもある、ということです。
心の成長には、時として「痛み」が伴うことがあります。これは、発明や発見に様々な苦悩や苦労が語られる「生みの苦しみ」に似ています。私自身も、学生時代に先輩やコーチから厳しい指摘を受けて悔しい思いをした経験や、臨床心理士の駆け出しの頃に指導教員から手厳しい指導を受け、自分のふがいなさに落ち込んだ経験があります。しかし、そうした「手痛い刺激」こそが、自分の成長に欠かせないものだったと、今では強く感じています。
カウンセリングも同様です。来談された方に少しでも良くなってもらいたいという思いから、私たちは、時には聞きたくないことや、言われたくないこともお伝えすることがあります。なぜなら、傷つきや苦痛から目を背けていては、根本的な改善や成長にはつながらないからです。
痛みに隠された、成長へのヒント
悩みの解決や自己成長には、自分一人では気づけなかった考え方のクセや、繰り返してしまう行動パターンに、専門家の視点から気づかせてもらうことが必要な時も有ります。
しかし、その「痛み」は、決してクライエントさんを傷つけるためのものではありません。
私たちは、その言葉がきちんと受け止められるよう、タイミングや言葉選びを慎重に行います。そして、その痛みを通して、悩みの根本原因に向き合い、新たな気づきや成長へとつなげていけるよう、精一杯お手伝いします。
優しく聞いてもらうことで心が癒される。 しかし、その上で、痛みを伴う「気づき」を得る。
この二つのプロセスが合わさることで、カウンセリングは単なる心の休息所ではなく、自ら立ち直り、さらに強く、しなやかになるための「成長の場」へと変わります。
安心して「痛みに」向き合うために
当オフィスでは、このプロセスを安全に進めることを第一に考えています。
- 信頼関係の構築: まずは、安心して何でも話せる関係性を築くことに時間をかけます。
- 対話のペース: 「今は向き合えない」と感じている時は、決して無理強いはしません。準備ができた時に、一緒にその課題と向き合っていきます。
- 専門的な視点: 認知行動療法などの手法を用いて、感情や行動の背景を論理的に整理することで、感情的になりすぎず、客観的に自分を見つめる手助けをします。
カウンセリングは、悩みを根本から解決し、自己成長を促すための投資です。優しさだけではない、勇気のいる一歩を踏み出すことで、きっと新しい自分に出会えるはずです。