コラム

「カウンセリングって、やっぱり辛いんですか?」カウンセリングの実際

「カウンセリングって、なんだか辛いイメージがあるんだけど…」

もし皆さんがそう感じているなら、それは無理もありません。自分の心の奥深くにある、目を背けてきた感情や痛みに向き合うことになるかもしれない。そう考えると、不安になるのも当然です。

 確かに、カウンセリングのプロセスの中には辛いと感じる時期もあります。特に、スキーマ療法のように時間をかけて過去を振り返り、心の傷となる辛い記憶と向き合うワークに取り組むクライエントさんのなかには、涙ながらに臨まれる方も少なからずいらっしゃいます。しかし、実際に多くのクライアントさんとワークを共にする中で、カウンセリングは決して「辛いだけのものではない」と強く感じるようになりました。乗り越えた先には予想を超えた成果を得られることもあります。同時に、このような辛い作業にも覚悟して取り組んでおられるクライエントさんを本当に尊敬しています。

カウンセリングで「辛さ」を感じる瞬間

もちろん、カウンセリングの過程で「辛さ」を感じる瞬間がないわけではありません。例えば、

  • 過去の心的外傷や辛い記憶を語る時: 蓋をしてきた感情が溢れ出し、一時的に辛い気持ちになることがあります。
  • 長年抱えてきた思考のクセや信念に気づく時: 「まさか自分がこんな風に考えていたなんて…」と、気づきが痛みを伴うことがあります。
  • 変わりたいけれど、変わることへの抵抗を感じる時: 新しい自分へと踏み出すことへの不安や葛藤が生じることがあります。
  • ウンセリングの効果を実感するまでに時間がかかる時:「本当に良くなるんだろうか…」と、焦りや不安を感じるかもしれません。

これらの瞬間は、心の深い部分と向き合っている証拠であり、決して異常なことではありません。むしろ、変化や成長の段階において、ある程度は避けられない段階と言えるでしょう。

辛さの先にあるもの

では、なぜカウンセリングは辛いだけではないのでしょうか?それは、辛さを乗り越えた先に、症状や悩み事から解放される以外にも様々な心の変化を感じることができます。

  • 安全な場所で話せる安心感: 誰にも言えなかった悩みや感情を、カウンセラーに安心して話せることで、心を軽くできます。
  • 理解と共感: あなたの気持ちを理解し、寄り添ってくれるカウンセラーの存在は、孤独感を和らげ、「一人じゃないんだ」という安心感を与えてくれます。
  • 気づきを得られる: 客観的な視点から自分の思考や感情を見つめることで、問題の根本的な原因や、これまで気づかなかった自分の一面を発見することができます。
  • 具体的な解決策とスキルの習得: 認知行動療法や自律訓練法など、科学的根拠に基づいたアプローチを用いて、具体的な問題解決の方法や、感情の状態をコントロールするためのスキルを学ぶことができます。
  • 自己成長と自信: カウンセリングを通して、クライエントさんは自分の力で困難を乗り越える力を取り戻し、より自信を持って人生を歩んでいくことができるようになります。

カウンセリングは、時に心の痛みに触れる苦しみの過程を伴います。しかし、それは一時的なものであり、その先には、より深く自分自身を理解し、情緒面の安定感を高め、より広い視野でものごとを眺めることができるようになります。

「解放された気分」、「以前捉われていたものが気にならなくなった」、「今までの辛い感情を受け流せるようになった」など、クライエントさんから様々な効果を伺っております。

留意点

 最後にとても大事なことをお伝えしておきます。当オフィスのカウンセリングは、やみくもにつらいワークを行うことを推奨しているわけではありません。それを行うには適切なタイミングとこころの準備が必要になります。特に、クライエントさんの準備が整わない段階で、無理に辛い過去や感情に焦点を当てたワークを行うことは、症状を悪化させたり、精神状態を不安定にし、治療プロセスを中断させてしまう危険性すらあります。まずは多少の辛さに持ちこたえられるくらいの心の耐性をつけていくことが優先されます。

 クライエントさんに心の準備ができていもカウンセラーの判断でお断りすることももちろんあります。「このクライエントさんに取り入れて大丈夫かどうか」慎重に検討することが、我々に重要な責務の一つでもあります。

カウンセリングに対して不安を感じているのであれば、まずはその気持ちを遠慮なくお話しください。当オフィスは、クライエントさんのペースに合わせて、安全かつ丁寧にカウンセリングを進めていくことをお約束します。