コラム

うつに対する認知行動療法の取り組み

「何もかもが嫌になる」「何をしても楽しくない」「何もやる気が起きない」

うつ傾向に陥ると、ネガティブな思考に陥りやすくなります。うつは、決して珍しい病気ではありません。しかし、一人で抱え込まず、適切な治療を受けることで、必ず回復に向かうことができます。

今回は、うつに対する「認知行動療法」について、その効果と実施方法を詳しく解説します。

認知行動療法とは?

認知行動療法(CBT)とは、私たちの「認知(考え方)」と「行動」に働きかけ、心の状態を改善していく心理療法です。うつ病の場合、ネガティブな考え方の癖や、活動量の低下などが症状を悪化させる要因となります。認知行動療法では、これらの要因に焦点を当て、具体的な方法で改善を目指します。

認知行動療法の効果

認知行動療法は、うつ病の様々な症状に効果が期待できます。

  • 気分の改善: ネガティブな考え方の癖を修正し、前向きな気持ちを取り戻します。
  • 意欲の向上: 少しずつ活動量を増やしていくことで、意欲や気力を高めます。
  • 睡眠の改善: 睡眠習慣を見直し、質の良い睡眠を確保します。
  • ストレスへの対処: ストレスの原因を特定し、効果的な対処法を学びます。
  • 再発予防: 問題解決スキルを習得することで、将来的な再発を防ぎます。

認知行動療法の実施方法

認知行動療法では、主に以下の方法でうつに対処していきます。

  1. アセスメント: 現在の状況や症状、困っていることなどを詳しく聞き取り、治療計画を立てます。
  2. 心理教育: うつ病のメカニズムや、認知行動療法の基本的な考え方を学びます。
  3. 行動活性化: 少しずつ活動量を増やし、日常生活における喜びや達成感を増やしていきます。特に、うつになると、何もする気が起きなくなったり、すぐに疲労を感じやすくなり、活動量が減少する方が大変多いです。最初は家の中でできるエクササイズや簡単な家事など、意識的に活動量(無理のない範囲で)を増やしていくプランを作成していきます。
  4. 認知再構成: ネガティブな考え方の癖に気づき、より現実的でバランスの取れた考え方に修正していきます。認知再構成法は、自身の考え方について様々な観点から検討していくので、それなりにエネルギーを要します。また、自身のネガティブな思考と向き合うことになるので、症状が重い方にはおすすめしません。ある程度うつと向き合い、薬物等で症状をコントロールできる方により効果的です。
  5. 問題解決訓練: 日常生活で起こる様々な問題に対し、効果的な解決策を見つけるスキルを習得します。うつに陥ると、視野が狭くなり思考が限定的になってしまいがちです。「三人(二人)寄れば文殊の知恵」ではありませんが、カウンセラーと問題について現実的・具体的な解決策を探っていきます。
  6. 再発予防: 今後の生活で起こりうる困難に対する対処法を学び、再発を防ぎます。

認知行動療法を受ける際のポイント

  • 専門家を選ぶ: 認知行動療法の専門知識と経験を持つカウンセラーを選びましょう。
  • 継続する: 効果を実感するためには、継続的な治療が重要です。
  • 積極的に取り組む: カウンセラーと協力し、積極的に治療に取り組みましょう。
  • 日常生活で実践する: 治療で学んだことを、日常生活で実践することが大切です。

最後に

うつ病は、適切な治療を受けることで、必ず回復に向かう病気です。認知行動療法は、その有効な選択肢の一つです。もし、あなたがうつ病に悩んでいるのなら、一人で抱え込まず、専門家に相談してみてください。

仙台泉メンタルサポートオフィスでは、認知行動療法を中心に、様々な症状やお悩みにご自身で対処していく力を身につけていただけるようサポートいたします。心の重荷を軽くするために、ぜひ一度ご相談ください。