※この事例は、複数の相談ケースを統合・一般化したモデルケースです。クライアントのプライバシーに配慮し、特定の個人が特定されないよう構成しています。

相談のきっかけ(30代・女性・会社員)

出勤前の戸締まりやガスの元栓の確認に30分以上を費やすようになり、度重なる遅刻や欠勤から休職を余儀なくされていました。医療機関で「強迫性障害」と診断され、投薬治療によって症状は一時的に落ち着いたものの、「薬だけに頼らず、自分の力でこの症状を克服したい」「根本的な不安への対処法を身につけたい」という強い希望を持って当オフィスを訪れました。

カウンセリングの経過

真面目で責任感の強い性格ゆえに、「もし自分の不注意で火事になったら、取り返しのつかないことになる」という破滅的な思考が強く、その不安を打ち消すために確認行動を繰り返すという悪循環に陥っていました。そこで、行動療法の代表的な手法である「暴露反応妨害法(ERP)」を中心としたアプローチを導入しました。

  1. 状況の整理とスモールステップの設定: どのような状況で不安が強まるのかを丁寧に棚卸しし、まずは「玄関の鍵の確認を1回で終える」といった、心理的ハードルの低い練習から計画を立てました。
  2. 「あえて不安に留まる」練習: 確認したい衝動に駆られた際、あえて確認せずにその場を離れる練習を繰り返しました。不安が一時的に高まっても、時間が経てば自然に引いていく感覚(慣れ)を体感していただきました。
  3. 注意分散法と行動の切り替え: 確認したくなった際に、意図的に別の活動(家事や仕事の準備など)に意識を向けるスキルを練習し、不安に支配される時間を短縮していきました。
  4. 背景にある心理的要因へのアプローチ: 症状が落ち着いてきた段階で、背景にあった家族関係や「完璧でなければならない」という価値観についてもワークを行い、自己理解を深めました。

結末と現在の状況

数ヶ月の継続的なセッションを経て、「不安を感じても、以前のようにすぐに確認行動に走らなくても大丈夫だ」という自信を深められました。不安をゼロにしようとするのではなく、不安がある状態のままでも日常生活を維持できる実感を獲得されました。 現在は仕事に復職し、家事や育児との両立に励んでいらっしゃいます。「確認に追われていた時間を、今は子供と向き合う時間に使えています」と笑顔でお話しされていたのが印象的でした。

カウンセラーの視点

強迫症状は、本人の意思や性格の問題ではなく、脳の「安全確認システム」が過剰に作動している状態です。この事例では、薬以外のサポートを希望されたことで、ご本人が主体的に「不安に耐える筋肉」を鍛えるトレーニング(行動療法)に取り組めたことが大きな回復の鍵となりました。症状をコントロールするスキルを習得したことで、再発防止に向けた土台も強固に築かれています。

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