「試合前になると、緊張でどうしようもなくなる…」 「失敗したらどうしよう、と不安ばかりが頭をよぎる…」 「どうせ自分には無理だ…」
アスリートの皆さんはもちろん、日々の生活でネガティブになりやすいと感じている方も、こんな心の声に気づいていますか?
この心の声、つまり「セルフトーク」は、無意識のうちに自分自身と交わされる心の対話のこと。この声が、私たちの感情や行動、そしてパフォーマンスに大きな影響を与えています。
今回は、メンタルトレーニングや認知行動療法にも役立つ、セルフトークとの向き合い方についてお話ししたいと思います。
ネガティブなセルフトークはパフォーマンスの敵
ネガティブなセルフトークは、心のブレーキとなります。
- 「またミスするんじゃないか?」
- 「周りの期待に応えられない…」
- 「自分はダメな人間だ…」
こうした心の声は、緊張や不安を増幅させ、集中力を奪い、本来持っている力を発揮するのを妨げます。まるで、自分自身でパフォーマンスを下げているような状態です。
思考に振り回されない心の作り方
では、ネガティブなセルフトークを「絶対にうまくいく!」「私は最高だ!」といったポジティブな言葉に置き換えれば良いのでしょうか?
もちろん、ポジティブなセルフトークは、気分を高揚させ、自信を持つ上で大切です。しかし、無理にポジティブな言葉を繰り返すと、かえって自分を追い込んでしまうこともあります。
大切なのは、感情に振り回されず、目の前のことに集中できるメンタル状態にすることです。
認知行動療法では、「思考は現実ではない」と考えます。つまり、「失敗するかも」という考えは、単なる頭の中の“つぶやき”であり、必ずしも現実になるとは限りません。この考え方を応用し、セルフトークを客観的に見つめる練習をしてみましょう。
1. 「心のつぶやき」に気づく まずは、自分がどんなセルフトークをしているか、意識的に耳を傾けてみましょう。どんな状況で、どんな言葉が頭をよぎるのか、メモをするのも効果的です。
2. 客観的に分析する ネガティブなセルフトークが浮かんだら、立ち止まってこう問いかけてみてください。
- 「それは本当に事実だろうか?」
- 「別の見方はないか?」
- 「もし友人が同じことを言っていたら、どんなアドバイスをするか?」
3. ニュートラルなセルフトークに変換する 例えば、「練習したのに、全然うまくいかない」というセルフトークは、以下のように変換できます。
- ニュートラルなセルフトーク: 「今日はうまくいかなかった。どうすれば良くなるか、次の練習で試してみよう」
このように、感情的にならず、目の前の状況と向き合うための**“事実に基づいた言葉”**に変換する練習をしてみましょう。
最後に
セルフトークは、メンタルトレーニングの強力なツールです。無意識の心の声に耳を傾け、それを意識的にコントロールすることで、あなたは感情に振り回されず、最高のパフォーマンスを発揮できるようになります。
まずは、自分のセルフトークに気づくことから始めてみませんか?