睡眠の問題についての基礎知識と対策
こんにちは。皆さんは普段睡眠にどれほど気を配っていますか?たかが睡眠と侮ってはいませんか?実は睡眠に問題が出てくると、こころと身体の両方に悪影響を及ぼします。今回は睡眠に影響を与える要因と対策についてまとめていきたいと思います。
睡眠に影響を与える6つの要因
ストレス
ストレスや不安、緊張は不眠の原因の一つです。ストレスが増えることによって寝つきが悪くなったり、深夜に目が覚めやすくなったりします(中途覚醒)。ただ、ストレスが高まると睡眠に影響が出ることは一般的な反応であり(急性不眠)、通常はストレスが減少することで睡眠リズムは整っていきます。しかし、なかにはそのままずるずる睡眠リズムが乱れてしまう方もいらっしゃいます(慢性不眠)。慢性不眠になると、ストレスが原因というよりは、身体が不眠を憶えてしまった状態といえます。
体温リズム
体温には、深部体温(心臓に近い体の中心の温度)と抹消体温(手足などの皮膚温)があります。睡眠は深部体温が下がると、眠気が上がってくるというリズムになります。また、深部体温が下げるためには手足から温度を抜いていく必要上がるため、「深部体温の減少=抹消体温が上昇」の関係に成り立っています。冷え性の人は抹消体温が下がりにくく、深部体温が高い状態が続くことから、不眠になりやすい傾向にあります。また、就寝直前の激しい運動や入浴も深部体温の上昇につながりやすくなります。
睡眠段階と年齢の関係
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、「ノンレム睡眠」にはさらに4つの段階があります。なかでも3、4段階がより深い睡眠とされています。「ノンレム睡眠」の後に夢を見る「レム睡眠」が現れ、このサイクルを一晩で何度も繰り返しています。そして、年齢とともにこのサイクルは変化していき、特に「ノンレム睡眠」3,4段階は高齢になるにつれ減っていくとされています。お年寄りが早起きなのは、このためだったんですねー。
光と体内時計
体の中には体内時計が備わっており、この時計の働きで、毎日決まった時間に様々なホルモンが分泌されたり、睡眠や覚醒を繰り返すといった体内リズムが生まれます。この体内時計のリズムは24時間よりも若干長くなっており、規則正しい生活のためには、このズレを修正していく必要があります。ズレの修正に強い効果をもつのが光です。光には「朝の光」と「夜の光」があり朝の光は睡眠相を前倒しにしてくれます。睡眠相とは、寝床に入っている時間ではなく、身体がすっと寝て、すっと起きる時間のことです。朝の光を浴びることで、その時間が前倒しになりいつもより早い時間に眠気が来るようになります。逆に「夜の光」は夜間に強い光(明るすぎる照明や繁華街に出歩くこと)を浴びることで睡眠相が後ろにずれてしまい、いつも通りに寝床に入っても眠りにくくなります。
日中の活動
人は身体を起こした瞬間から、睡眠欲求が貯まっていきます。日中は活発に活動しある程度の味わっておくことが、良質な睡眠には有効です。休日に仕事で疲れているからといって日中ゴロゴロしていると、睡眠欲求が高まりにくくなり睡眠リズムが乱れやすくなります。
不眠を維持する3つの特徴
最後は、これまで上げてきた事柄が、その人の睡眠リズムの乱れるにどのように関わっているのかを整理していきます。
行動的特徴
日中の生活習慣(例:運動)、寝る前の習慣やベッドに入ってからの習慣(例:お酒を飲む)、眠れないときの習慣(例:時計を見る)
認知的特徴
寝る前の考え(例:今日は眠れるかどうか)、ベッドに入ってから頭に浮かんでくる考え(例:今後どうなってしまうのか)、睡眠に対する考え(例:8時間は寝なければ)
身体的特徴
体温、睡眠相、ベッドに入ってからの身体の緊張やりきみ、その他の身体症状(例:痛みやかゆみ)。これらの特徴は、それぞれ独立したものではなく、連動している場合が多いので、すべての歯車を止める必要があります。
6つの対策
1.刺激物の摂取を控える
カフェイン、ニコチン、アルコールの摂取は就寝4時間前までにしましょう。カフェインとニコチンは覚醒作用があります。アルコールに関しては、入眠作用はありますが、睡眠を浅くしてしまい、質の悪い睡眠になります。また、アルコール依存のリスクも高まります。
2.食生活に気を配る
空腹と満腹は覚醒の原因になります。規則的な食生活を心掛けましょう。
3.運動をする
1回20分~30分、週3回程度の運動が効果的です。激しい運動は夕方までに済ませておくとよいでしょう。また、就寝2,3時間前の軽い運動(例:散歩、ジョギング、水泳等)は効果的です。
4.就寝環境を整える
できるだけ、静かな環境や快適な室温で眠るようにしましょう。空気を清浄化しておくことも睡眠を促進します。
5.照明に気を配る
寝る前の強い明りは避けましょう。特にスマホやパソコンのブルーライトはメラトニン(睡眠を促進するホルモン)を減少させてしまいます。
6.体温の上昇に注意
深夜のお風呂は寝つきの妨げになります。入浴は就寝の2時間前に済ませておきましょう。
まとめ
睡眠リズムを整えること、その対策のために日中の生活習慣に気を配ることが、こころだけでなく身体の健康にも重要な要素がたくさん含まれています。ちなみに、良い睡眠のためには、平日と休日の起床時間をできるだけ一定にすることも効果的です。睡眠のリズムを整えるためには、何よりも起床時間が大切です。例えば、どんなに夜遅くまで起きていようが、朝一定の時間に起きて日中に活動できれば、生活リズムも一定に保ちやすくなります。
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