脳細胞と栄養
脳内の神経伝達物質を生成するためには栄養が不可欠です。こころの状態には、脳内で作られている様々な神経伝達物質が関係しています。脳内には数多くの神経細胞が集まっており、神経細胞同士が情報をやり取りする時に、これらの神経伝達物質が働いて情報伝達を行います。これらのバランスが崩れると、イライラや不安などの精神状態も変化が起きます。
こころを元気にするためには、まずは神経伝達物質の原料となっている栄養をしっかり摂ることが重要になります。ちなみに、神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンは体内では生成されません。これらのホルモンを合成するためには体外からの栄養補給が必須なのです。
腸内環境を整える
食事をしっかりと摂っていても、きちんと消化吸収されなければ細胞に栄養が届かず、不調の原因となります。腸の機能低下が、こころと身体に不調をきたしやすくなります。腸内環境を整えるためには、発酵食品や水溶性・不溶性の食物繊維を意識して摂り、善玉菌を有意にしていきましょう。
メンタルの改善に役立つ栄養素3選
たんぱく質
こころと身体の基礎となる栄養素がたんぱく質です。たんぱく質には健康をキープして病気にならないように体を守る働きと、ダメージを受けた組織を修復して病気を治す働きがあります。また、GABA(気持ちの安定の素)、ドーパミン(元気や快活さの素)、セロトニン(幸福感の素)のような神経伝達物質は、たんぱく質からできています。
たんぱく質は、肉、魚、大豆製品、卵といった食品から効率よく摂取できます。肉や魚などの動物性たんぱく質と大豆製品に含まれる植物性たんぱく質の両方を摂取するように意識できるとよいでしょう。
鉄
鉄はたんぱく質やビタミンなどと協力しながらこころ身体の様々な機能を動かす重要な働きがあります。鉄の主な役割としては以下のものがあります。
・酸素を体のすみずみまで運ぶ
・骨、皮膚、粘膜を作る材料となる
・コラーゲン合成を働きかけ、肌をきれいにする
・免疫力を高める
・頭の回転やひらめき、情動や意欲をコントロールする(脳内ホルモンを合成に必須)
・活性酸素を消去する
鉄は、レバー、牛肉、豚肉、鳥の砂肝、かつお、あさり、煮干し、ひじき、大豆製品、ほうれん草などから摂取できます。また、鉄はもともと体への吸収率が悪い栄養素なのですが、ビタミンCとセットで摂ることで吸収率をアップさせてくれます。お肉にレモンをかけると効率よく摂取できるでしょう。
ビタミンB群
ビタミンB群は栄養素を代謝してエネルギーに変える働きがあります。ビタミンB群がなければ、元気に活動することも、気持ちを安定させて集中することも難しくなります。ビタミンB群は8種類の複合体となっており、それぞれの主な働きは以下の通りです。
・ビタミンB1 糖質をエネルギーに変える、集中力や記録力と関係
・ビタミンB2 脂質をエネルギーに変える、脳と肝臓の働きと関係
・ナイアシン たんぱく質、脂質、糖質の分解に関係する、気持ちを安定させる
・パントテン酸 たんぱく質、脂質、糖質をエネルギーに変える
・ビタミンB6 神経を落ち着かせる、たんぱく質、脂質をエネルギーに変える
・ビタミンB12 集中力を高める、バイオリズムの調整と関係
・葉酸 ビタミンB12と一緒に遺伝子の合成に働き、妊娠初期に必要な栄養素
・ビオチン 肌を健康に保つ、白髪、脱毛の予防
ビタミンB群はたんぱく質を摂れば一緒に摂取できます。肉や魚などの動物性たんぱく質と大豆製品の植物性たんぱく質をバランスよく摂っていきましょう。また、お酒を飲む人はアルコールと糖質の代謝にビタミンB群が使われるため、意識して摂るとよいでしょう。
番外編:油(脂質)にも目を向けてみよう
油(脂質)も体にはなくてはならない栄養素の一つです。調理でもよく使う油には、体に良いものと悪いものがあります。気を付けたいのはサラダ油やマーガリン、キャノーラ油です。一方で、オリーブオイル(特にエクストラバージンオリーブオイル)のようなオメガ9、魚油、えごま油、アマニ油のようなオメガ3には抗炎症作用、抗酸化作用がありおすすめです。ただ、オメガ3の油は光と熱に弱く、酸化しやすいため、加熱調理には使わないようにしましょう。
当オフィスではメンタルヘルスに重要な栄養に関する相談も承っております。