リラクセーションについて
人はストレスを受けると体を緊張させてストレスに対処しようとします。これは、生物としては当然の反応なのですが、慢性的にストレスを浴び続けると、筋肉が強張りっぱなしになり、身体の様々な部位に悪影響が出てきます。全身の疲労感や緊張性の頭痛、肩こりや腰痛、背中痛などは、その一端です。このようなことから、ストレスが身体にも大きく影響することが理解できると思います。逆に、身体の緊張が取ることで、気持ちもリラックスしやすくなります。こころと身体は一心同体なんです。
リラクセーションは、筋肉の緊張をほぐすことで、ストレスの緩和を目指すアプローチになります。
緊張の種類
緊張にもさまざまな種類があることをご存知ですか。まずは、そのあたりから整理していきましょう。
準備緊張
何らかの動作を起こそうとするときに起きる筋緊張です。皆さんが何か行動を起こそうと「その気」になったとき、筋肉も行動を起こす準備として緊張し始めるのです。これは、日ごろから慣れ親しんだ力の入れ方なので、大きな問題にはなりません。逆に「やる気」の原動力にもなり、体には程よい緊張が生じます。
恒常緊張
体のある部分に居座り続ける緊張のことを言います。初めての動作や難しい作業、まだ自分のものになっていない課題などでは、その動作のための緊張の程度がよくわからず、力を入れすぎたり入れ足りなかったりします。その動作に慣れることで、緊張も適度なものになるのですが、緊張がそのまま残ってしまう場合があります。それが、体のあちこちの部位や関節に蓄積されると、慢性化して痛みや過緊張に繋がります。
場面緊張
試験や面接、試合など特定の場面に臨む時に出る緊張です。普段の練習や学習では特に緊張することなく活動でき、必要な技術や知識を身に付けているにもかかわらず、本番になると「あがってしまう」ことです。
イメージ緊張
試験本番や公式戦の前に、その状況をイメージして緊張が強くなり「あがってしまう」ことです。このイメージによる緊張は、現実場面での緊張よりもはるかに強烈に感じる場合もあります。神経質な人、完璧癖のある人、うつ的になっている人などは、こうしたイメージがもとで余計に緊張しやすくなる傾向にあります。
緊張するのは悪いこと?
こころや体に様々な影響を及ぼす緊張ですが、悪いものであるとは言い切れません。体を緊張させてストレスに対して身構える準備を整えることで、冷静な対応や判断ができるようになるのです。逆に緊張が不十分であったり過剰な場合は、ストレスに適切に対応することができず、思うように体が動かなくなります。緊張と鋏は使いようです。
リラクセーションの目的は、この不要・過剰な緊張を緩めることと考えてもらうとよいかと思います。
リラクセーションの種類
リラクセーションには自分で弛めるものと他者に弛めてもらうものがあります。マッサージや入浴、サウナ、鍼灸などは他者(外部から)に弛めてもらうものになります。一方で、ストレッチや瞑想や筋弛緩法、呼吸法は自分で弛めるものになります。さらにその中間として、スポーツなどで汗を流すことでリラックスする方法があります。
ストレスに対処していくためには、他者や外部に頼るだけでなく、好きな時間や場所で実施できる自分で弛める方法も持っておくことがとても有効です。今回は、自分でできる簡単リラクセーションを二つご紹介します。
1.10秒腹式呼吸法
10秒かけたゆっくりとした深呼吸を繰り返す呼吸法です。ストレスが増えると、呼吸の浅い胸式呼吸が習慣になってしまいます。腹式呼吸は、リラックスしているときにみられる呼吸法です。緊張や不安が強いときは、腹式呼吸を意識してみてください。
・リラックスできる場所と姿勢(座っていても寝転んでもかまいません)を準備しましょう
・目を閉じて、まずは息を吐き切ります
・次に鼻から4秒間と息を吸います
・そして6秒かけて息を吐き切りましょう
数分間、自分のペースでゆっくりと無理のない呼吸を心掛けましょう。
2.漸進的筋弛緩法
意識的に体の部位に力を入れることと力を抜くことを繰り返します。
・リラックスできる場所と姿勢(座っていても寝転んでもかまいません)を準備しましょう
①腕を伸ばして両手の親指を中にして握りこぶしを作ります。
①’息を吸って止めて、7割くらいの力でグッと力を5秒ほど入れ続けます。そして緊張している状態を意識します。
(痛みを感じるまで力を入れると筋肉を傷めるので注意して下さい)
①”息を吐きながら一気に力をゆるめて、20秒ほど力が抜けた感覚やリラックスした心地良い感覚を十分に味わうようにします。
②息を吸って止めて、両肩をギュッとすぼめて緊張させ、力を5秒ほど入れ続けます。そして緊張している状態を意識します。
(痛みを感じるまで力を入れると筋肉を傷めるので注意して下さい)
②’息を吐きながら一気に力をゆるめて、20秒ほど力が抜けた感覚やリラックスした心地良い感覚を十分に味わうようにします。
③息を吸って止めて、あごを引いて鼻と眉間にシワを寄せ、口はすぼめて目を閉じギュッと力を5秒ほど入れ続けます。
そして緊張している状態を意識します。(痛みを感じるまで力を入れると筋肉を傷めるので注意して下さい)
③’息を吐きながら一気に力をゆるめて、20秒ほど顔の力が抜けた感覚やリラックスした心地良い感覚を十分に味わうようにします。
①両手②肩③顔 これを1セットから3セット行います。
漸進的筋弛緩法では、力を入れたときも抜いた時も、その部位の感覚を味わうことが大切です。そうすることにより、身体感覚への気づきが鋭敏になり、緊張にも早く気づき、抜きやすくなります。
このような、自分でできるリラクセーションは、身体のリラックスだけでなく、自己コントロール能力を向上させたり、内省力や集中力を高めるトレーニングにもなります。
なお、当オフィスでは、不安や緊張への対処方法として自律訓練法を実施しております。
自律訓練法の詳細はコチラ