ストレスマネジメント

逃げるは恥だが役に立つ?回避的対処の功罪

SAIKORO

嫌なことや精神的にきつい課題に差し掛かると、ついつい先延ばしにしたり、逃げてしまいたい気分になりませんか?このように、課題に直面すると避けてしまう心性を「回避的対処法」と言います。

今回は、回避行動の良い面と悪い面について解説していきたいと思います。

回避的対処とは

 困難な物事に差し掛かると、人間はストレスを感じます。回避的対処とは、そのストレスを避けるために、困難から逃げたり先延ばしにする行動傾向のことです。私たちは、不快感を避けたいがために、しばしば、回避的対処を用いてストレスの素になっているものと距離を置こうとします。例えば、締め切りが近い仕事があるにも関わらず、ついついゲームをしてしまったり、資格を取ろうと思ったけど、参考書が難しくてすぐに諦めてしまうと言う行動も回避行動の一つです。人は大なり小なりこの行動を用いています。

回避的対処の長所と短所

 では、回避的対処を用いることで得られる利点と欠点についてまとめていきたいと思います。

・利点

1.ストレスから一時的に解放される

 ストレスの素になっているものを避けることで、一時的にストレスから解放されます。

・欠点

1.ストレスや不安をより増やしてしまう場合がある

 ものごとを先送るにすることで、ストレスや不安が増大する可能性があります。上記の締め切りの例でいうと、いくらゲームを楽しんで仕事のことを忘れられたからといって、締め切りは待ってくれません。期限が迫るごとに、避けようのないストレスが増加していくでしょう。

2.問題解決になっていない

 逃げるだけでは、根本的な問題解決になりません。私たちは常にストレスを回避できるとは限らず、時には正面から立ち向かっていく必要があります。回避的対処ばかりしていると、問題解決能力も身に付かず、自信喪失やストレスマネジメントの低下を招く恐れがあります。

3.周囲の人を苛立たせ、関係性が悪くなる

 逃げてばかりの人を見ているとイライラすることはありませんか?回避行動ばかりしていると、周りの人の心象も良くありません。大事な時に助けてくれなくなる可能性もあります。

 以上のように、常日頃から回避的対処を用いることは、明らかに短所の方が多くなります。やはる、自己成長のためのスキル獲得や周囲の信頼を得たいならしっかりと問題に立ち向かう姿勢を身に付けた方がよいでしょう。

ただし、「逃げと鋏は使いよう」です。本当に自分の力ではどうにもならない事態、例えば、パワハラやキャパシティを超えた仕事をふられる等に陥った場合は、「退職」という回避行動を用いるのも良いでしょう。

回避的対処以外の対処法

・積極的対処

 回避的対処以外の対処法としては、積極的対処があります。ストレスの原因になっている問題について解決に向けて話し合ったり実際に行動を起こすことです(積極的行動対処)。また、ネガティブな側面だけに目を向けるのではなく、ポジティブに見ていくために状況を捉え直すといった、ストレスの原因についての考え方を変えていくという対処方法もあります(認知的対処)。これらは、ストレスに対して積極的に何らかの介入を行うことが特徴です。自らの力で問題解決ができそうな要因に対して用いることができるでしょう。

・受動的対処

 問題に直接的にアプローチするのではなく、問題に対する自分の反応の仕方を変えていく方法です。リラクセーションや瞑想、運動などは、気持ちを穏やかにしたり、ストレスを軽減する効果があります。また、飲酒やショッピングなども気分を盛り上げるには良いかもしれませんが、費用が掛かることや癖になると依存症に陥る可能性もありますので、ほどほどに取り組みましょう。

 このような対処法は、すぐには逃げられない状況など、自分の力だけでは問題解決が難しい状況に陥った時に、自分の精神状態を上手にコントロールしていく方法になります。

回避的対処を止めたいときの対策

 回避的対処を習慣的に用いることはあまり良いことではないとご理解いただけたかと思います。では、その習慣を減らしたいときにはどうしたらよいのでしょうか?

最後に回避的対処の習慣を減らしていく対策をいくつか挙げておきます。

1.回避的対処を理解する

 最初のステップは、「なぜ自分は回避的対処を使っているのか」、「いつ使っているのか」を把握することが大切です。このような理解を深めることで、そのような状況になった時に自分自身で止めて別の対処を模索することができるようになります。

2.スモールステップで取り組む

 いきなり大きな課題に取り組むのではなくて、まずは日常的に避けてきたものから取り掛かってみましょう。例えば、これまで健康に良いとはわかっていても苦手だからという理由で運動を避けていた人なら、散歩から始めてみても良いかもしれません。参考書が難しくて資格試験の勉強から逃げていた人も、もっと簡単な参考書から始めても良いかもしれません。

3.不快な気分をある程度受け入れるようにする

 ストレスを受けると、とても嫌な気分になるかと思います。回避的対処が習慣化する要因として、不快な感情を感じたくないということが一因にあるかもしれません。そのような場合は、不快な感情との付き合い方を身に付けておくことが良いかと思います。瞑想リラクセーション運動といった受動的対処は、こういった感情との付き合い方を身に付けたいときに試してみてはいかがでしょうか。

クロ

おれは人にこびへつらうことを避けるために野良をしているのかもしれないな。

SAIKORO

(この犬、またなにかを悟っちゃったか)