読むセルフケア

人の目が気になるあなたへ ― 他人軸から自分軸へ戻るヒント

「人の目が気になる…」その思考、どこから来ていますか?

「他人にどう思われているか気になってしまう」「つい周りの空気を読みすぎて、自分の気持ちが後回しになる」――そんな悩みを抱えていませんか?

認知行動療法(CBT)の視点から見ると、こうした思考には「自動思考」と呼ばれるクセが関係しています。私たちの思考は、ある状況に出会ったとき、過去の経験や思い込みから、反射的に考えや感情が湧き上がります。
この記事では、「他人軸」で考えすぎてしまうときの思考パターンに気づき、「自分軸」とのバランスを取り戻すヒントをご紹介します。

1.その“思い込み”、本当に相手の気持ち?

たとえば、会社員のAさんが定時で帰ろうとしたときのこと。周囲の同僚はまだ忙しそうに仕事をしています。するとAさんの頭にはこんな考えが浮かびます。

「もう帰るなんて思われたらサボってるみたい…」
「終わったなら手伝ってほしいと思われてるかも…」

誰にも何も言われていないのに、Aさんは「相手の気持ちを代弁」してしまっているのです。これを認知行動療法では、「心の読みすぎ(mind reading)」という認知の偏りと呼びます。

実際に相手がどう思っているかは分からないのに、自分の想像だけで行動を制限してしまう。このようなパターンが繰り返されると、自分の気持ちを置き去りにしたまま、人に合わせた行動ばかりになってしまいます。

2.「他人軸」と「自分軸」のバランスを見直す

「他人軸で生きる」というのは、まるで自分の行動のハンドルを他人に渡してしまっているような状態です。もちろん、相手の気持ちに配慮する姿勢は社会生活においてとても大切なこと。でも、それが過剰になってしまうと、自分自身が見えなくなってしまうのです。

一方で、「自分軸」は、「自分はどうしたいか」「自分は何を大切にしたいか」といった視点を中心に据えた考え方。これもまた、強すぎると他人への共感や配慮を失ってしまう恐れもあります。

大切なのは、**「自分の気持ちも大切にしつつ、他人の気持ちも大切にする」**という柔軟な視点。状況に応じて自分軸と他人軸をバランスよく使い分けることが、ストレスの少ない人間関係づくりにつながります。

3.自分を犠牲にする優しさから卒業する

「相手の立場に立って考えること」は、日本社会の美徳の一つです。しかし、その優しさが自分をすり減らすほどであっては、本末転倒です。

認知行動療法では、「自分の思考に気づき、現実とのズレを検証し、自分にとってより適切な行動を選ぶ」ことを大切にしています。

自分の気持ちに蓋をせず、「本当は自分はどうしたかったのか?」を見つめること。そのうえで、「じゃあどうすれば、自分も無理なく行動できるか?」を一緒に考えていくことが、心の健やかさにつながっていきます。

最後に:あなたの“心の軸”を取り戻すために

私たちは知らず知らずのうちに、他人の目や評価に振り回されがちです。でも、少しだけ立ち止まり、「その考え、本当にそうだろうか?」と問い直すだけで、自分の中にある柔らかな軸が見えてくるかもしれません。

仙台泉メンタルサポートオフィスでは、「人の目が気になって疲れてしまう」「自分の気持ちを大切にできない」といったお悩みに対して、認知行動療法に基づいたカウンセリングを行っています。
あなたの心が、もう少し軽くなるお手伝いができたら幸いです。