読むセルフケア

「変わりたいけど変われない」あなたへ──カウンセリングで少しずつ変化が訪れる理由

自分を変えるには時間がかかる。

──それでも人は少しずつ変わっていける

カウンセリングを継続していると、クライエントさんが少しずつ変化していく様子を目の当たりにします。

ある日突然、大きく変わるわけではありません。
目に見えないくらい小さな変化が、少しずつ積み重なっていきます。
ときには後戻りしたり、「やっぱり無理かもしれない」と感じたりすることもあります。

それでも、振り返ってみると、「あの時とは違う自分」がそこにいるのです。

■ 行動変容は「段階を踏む」自然なプロセス

人が「変わる」ことには、心理学的にいくつかの段階があります。
それが**トランスセオレティカル・モデル(行動変容ステージモデル)**と呼ばれる理論です。

これは、禁煙、運動習慣、食生活の改善など健康行動の研究から生まれた理論ですが、
私たちが「生き方」や「人間関係のあり方」「自分自身との向き合い方」を変えようとするときにも、
非常に示唆に富んでいます。

■ 行動変容の6ステージとカウンセリングの風景

◇ 予期前段階(Precontemplation)

「変わる必要性を感じていない」「問題とは思っていない」状態です。
カウンセリングの初期には、この段階にいる方も少なくありません。
来談動機が自分の意思ではなく、家族や職場の勧めであることもあります。

🔍 カウンセリングの中で:
問題を「見つめること」ができるようになるまで、まずは関係を築くことが大切です。
変わらないことにも理由がある。そこに敬意を持って関わることが、第一歩となります。

◇ 予期段階(Contemplation)

「変わりたい気持ち」と「変われない現実」の間で揺れ動く時期です。
「このままではいけない」と感じつつも、どこかで現状を手放せない。
そんな矛盾や葛藤が現れてきます。

🔍 カウンセリングの中で:
クライエントさんの中にある両方の気持ちに丁寧に寄り添います。
「やめたいけど怖い」「頑張りたいけど自信がない」──その迷いを否定せず、言葉にしていくことが、
やがて“次のステップ”への力になります。

◇ 準備段階(Preparation)

小さな行動が始まる時期です。
「まずは1日10分だけ早起きしてみよう」「週1回だけでも外に出てみよう」といった、小さな変化の兆し。

🔍 カウンセリングの中で:
「やってみたけど難しかった」「少しできたかも」──その一つひとつの経験に意味を見出していきます。
小さな成功が積み重なることで、「変われるかもしれない」という希望が芽生えてきます。

◇ 実行段階(Action)

実際に行動が変化していく時期です。
気分の落ち込みに引きずられずに日常を送れる日が増えたり、人との関係に新たな対応ができたり。
変化が「かたち」になって現れてきます。

🔍 カウンセリングの中で:
変化を継続するための工夫や支えが必要になります。
そして、うまくいかなかった時にどう受け止めるかも大切です。
「できなかった日があってもいい」と、自分に優しくなれる力を育てていきます。

◇ 維持段階(Maintenance)

新しい行動が定着しつつあります。
「以前はすぐ落ち込んでいたけど、最近は少し余裕が出てきた」
そんなふうに、振り返って自分の変化に気づける時期です。

🔍 カウンセリングの中で:
油断せず、自分のリズムを保つサポートをします。
変わった自分をしっかりと認識し、「これが自分のスタイルなんだ」と実感していく時間です。

◇ 再発(Relapse)

調子が崩れることも、後戻りすることもあります。
でもそれは失敗ではありません。変化の一部です。

🔍 カウンセリングの中で:
「また戻ってしまった…」という自己否定に飲み込まれないように、
再発の意味を一緒に整理します。
「ここからまた始められる」という視点に立ち戻れるようサポートしていきます。

■ 「変わること」は、怖さと希望の両方を含んでいる

私たち人間にとって、変化とは同時に「喪失」でもあります。
たとえそれが苦しい状態であっても、慣れ親しんだやり方を手放すのは怖いものです。
だからこそ、変わるには時間がかかっていいのです。

そして、変わるには一人で抱えなくてもいいのです。

■ カウンセリングは「変化の過程」を共に歩む場

カウンセリングは、「答えを教える場所」ではありません。
あなたの中にある“変わりたい気持ち”を尊重しながら、タイミングとペースに合わせて一緒に進んでいく場です。

たとえ小さな一歩でも、それを「前進」として見守ること。
たとえつまずいても、それを「成長の一部」として受け止めること。
その繰り返しが、やがて大きな変化につながります。

■ 最後に──あなたの「変わりたい」は、無駄じゃない

「自分を変えたい」「今のままではいたくない」
そう思ったとき、もうすでにあなたは変化のステージに足を踏み入れているのかもしれません。

仙台泉メンタルサポートオフィスでは、
変化のプロセスを一人で抱え込まずに進められるよう、丁寧に伴走していきます。
あなたの歩みに寄り添う場所として、どうぞお気軽にご相談ください。てみましょう。