心理学

人の夢は終わらねぇ!マズローの欲求階層

SAIKORO

マズローの欲求階層をご存知ですか?人間の欲求は、上の図のようなピラミッド階層に分類され、上に行くほどより高次の欲求とされています。今回はマズローの欲求階層について具体的に解説していきます。

 マズローは、人は生まれながらに自己実現欲求を持ち、人が成しえる最重要事項であると考えていました。この自己実現欲求を成し遂げるためには、食事や安全、自己肯定感のような基本的な欲求を満たしておかねばならないとしています。例えば、プロのサッカー選手になりたいと考えている人がいます(自己実現欲求)。しかし、一生懸命練習しても、ご飯が食べられなかったり(生理的欲求)、住む場所が無かったり、お金が稼げなければ(安全の欲求)、自己実現のための練習もままなりません。また、サッカーの練習は一人ではできませんので、どこなのチームに所属し(所属の欲求)、チーム内で実力を認められてレギュラーで試合に出場し、さらに試合でプロチームのスカウトに認められなければなりません(承認の欲求)。

 ただ、マズローはこれらの欲求が、常に図のような順番で辿るわけではないともしています。人によっては、お金のことは二の次で練習に没頭する人もいるかもしれません。

 では、各階層について具体的に見ていきましょう。

生理的欲求

生理的欲求とは、私たちが生きていくために必要なものごと満たすことです。食事や水分、呼吸に必要な空気、住まいや衣服などが含まれます。

安全の欲求

 二段階目は安全の欲求です。このレベルでは、自分の生活を守るために必要な事柄が含まれます。経済的な安全や健康な体、事故や怪我の防止などのことです。仕事を見つけて安全や健康を維持すること、お金を稼いで貯金を残しておくこと、治安の良い地域で暮らすことなどが、安全欲求による行動の例です。安全欲求と生理的欲求は基本的な欲求として言及されています。

所属・愛の欲求

 マズローはこのレベルの階層から社会的欲求になるとしています。生理的欲求が満たされると、人間関係に関する社会的欲求を求めるようになります。友人関係や恋愛関係、趣味などでのコミュニティや社会グループへの所属などです。これらの欲求は、孤独感や抑うつ、不安の避けるためにも重要な役割を果たします。対人関係が社会的なサポートがメンタルヘルスには重要であることも示していますね。

承認欲求

第四階層は、感謝と尊敬の欲求です。この階層に達すると、他者からの尊敬や感謝を得たいと思うようになります。専門的な活動や研究、スポーツチームでの活躍は承認欲求を満たす役割も担っています。ここで他者から承認を得ることができれば自信がつきますが、認められなければ劣等感を感じやすくなります。

自己実現欲求

 マズローの欲求階層の頂点が自己実現欲求です。マズローの自己実現とは、その人の才能や能力、可能性を開拓し成長させていくことです。では、自己実現を成し遂げるためにどのような行動を取れば良いのでしょうか?マズローは以下のように整理しています。

  • 恥も外聞も忘れる程、何かに打ち込むこと
  • 人生は選択の連続であり、人間的に成長するか後退するかはその選択次第だと認識すること
  • 正直に生き、自分の思考や感情に責任を持つこと
  • 例え評判を落とすことになっても嫌なことは嫌だとはっきりいうこと
  • 意欲的に仕事に励み、能力を最大限に活用すること
  • どんな分野の仕事でも、最高レベルを目指すこと
  • 自分の心理的防衛を見極め、それに打ち勝つよう努めること
  • なるべく他人の良い面を見るように心掛けること

マズローの欲求階層の影響力

 マズローの欲求階層は心理学における大きなパラダイム変換を示しました。マズロー以前の心理学は二つの学派に分かれていました。証明されない限りどんな説も無効だとする「科学的」な行動主義や実証主義派。もう一方は、フロイトの精神分析を支持する学派です。これらの学派は、人間の異常性や病理に焦点を当てて発展したグループですが、マズローは人の健康的な側面に焦点を当てていました。これが新たな視点として、今後大きな勢力に発展していくきっかけとなったのです。

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マズローの心理学は人が成長するために必要な要素とは何かを説いたものでした。現代でいう自己啓発の先駆けともいえるかもしれません。現代でもマズローの考え方はビジネスの世界でも未だに人気がありますね。