ストレスマネジメント

脳はネガティブがお好き?ネガティブバイアスとは?

SAIKORO

皆さんは自分のミスや反省点ばかり気にしてしまうところがありませんか?また、ニュースを見ていても悪いニュースばかりが目立ちませんか?これは人間の脳が良いニュースよりも悪いニュースの方に注目しやすいからなんです。このような脳の癖をネガティブバイアスと言います。今回はネガティブバイアスについて取り上げていきたいと思います。

ネガティブバイアスとは?

 ネガティブバイアスは、ポジティブな情報や良い出来事よりも、ネガティブな出来事により刺激を感じることです。脳にはポジティブな情報よりもネガティブな情報の方がインプットされやすく保存されやすい傾向にあるようです。皆さんも、第一印象が悪い人と仲良くなるのに時間が掛かったり、苦手意識が残りやすいと感じたことはありませんか?

人間の脳は以下の傾向にあるようです。

・ポジティブなものよりもネガティブなことを覚えておきやすい

・賞賛よりも批判を思い出しやすい

・ネガティブな刺激により強く反応する傾向にある

・ポジティブなことよりもネガティブなことを考える方が多い

 例えば、テレビやネットで流れるニュースもほとんどがネガティブな内容が多いと感じませんか?これは、ポジティブな内容よりもネガティブな内容の方がより注目を集め、反響が大きいからであると考えられます。また、ポジティブなニュースよりもネガティブなニュースの方が記憶に残りやすいということも関係しているのかもしれません。

 心理学の研究では、ネガティブバイアスが課題を完遂するモチベーションに影響を与えることを示唆しています。この研究では、追加報酬を得るために課題を受けるよりも、何かを失うあるいはペナルティを受けることを避けるために課題に向き合う方がモチベーションが高くなるとのことでした。つまり、「この商品が売れたらボーナスを与える」と言うより、「この商品が売れなければクビにする」と言った方がモチベーションが上がる可能性が高くなるかもしれません。

 脳科学の研究でも、ネガティブな刺激には脳内でより大きな処理が成されていることを示しています。この研究では、参加者にポジティブな画像、ネガティブな画像、中立な画像を見せて、脳内の電気活動を観察したところ、ネガティブな画像に大脳皮質の部分が強い反応を示したとのことです。大脳皮質は脳の情報処理の重要な部分です。そのため、私たちの行動や態度は、ネガティブなニュースや経験、情報によって揺り動かされてしまうところがあるのかもしれません。

脳はなぜネガティブになるのか

 ネガティブなことに注意を払い、良いことを見落としやすい傾向は、人類の繁栄と関係しているところがあるのではないかと考えられています。人類が地球上に生まれた時、周囲は森林や草原ばかりで、今ほど安全な環境ではありませんでした。頑丈な建物や強力な武器、周囲を照らす明かりが無い中で生きていかなければならず、死と隣り合わせの環境で生きていかなければなりませんでした。このような環境では、周囲の危険やネガティブなことに注意を払っていた人の方が生き残る可能性が高かったのでしょう。このような危険に対してより注意を払う遺伝子が、現代にも受け継がれている可能性が高いと考えられています。

ネガティブバイアスの対処方法

 ネガティブバイアスに囚われると、精神衛生的にも良くありません。そのため、ネガティブバイアスに対抗するための手段をご紹介します。

1.ネガティブなセルフトークを止める

 まずはご自身の思考に注意を払いましょう。何か出来事があった後、ネガティブな考えに陥ってしまうことがありませんか?例えば、仕事でミスをしたとき「自分はダメな奴だ」と考えてしまうかもしれません。友人や恋人と口論になってしまったとき「なんであんなことを言ったんだろうと」後悔するかもしれません。まずはこのようなネガティブなセルフトークを断ち切りましょう。終わってしまった過去の失敗に固執するのではなく、その出来事から何を学んで将来どのように活かしていけるのかを考えていきましょう。

2.状況を捉えなおす

ものごとをネガティブな側面ばかりから解釈しすぎていませんか?そのような傾向にある場合は、ポジティブな側面にも目を向けていきましょう。何もネガティブな側面を完全に無視する必要はありません。状況を俯瞰的に捉えなおして、ポジティブとネガティブの両側面から物事を見ていく癖をつけましょう。

3.注意の切り替えをおこなう

 ネガティブな考えから抜け出せない時は、意識的に環境や刺激を変えてみましょう。散歩をする、アップテンポな音楽を聴く、ポジティブな内容の本を読む、美味しいものを食べる等、一つの思考に縛られた注意を逸らすことを心掛けましょう。

4.ポジティブな出来事に焦点を当てる

 ポジティブな出来事や経験を意識的に思い出すようにしましょう。これまで述べてきたように、脳はネガティブな情報よりもポジティブな情報の方が記憶に残りやすい傾向にあります。そのため、ポジティブな記憶を思い出すことには少し慣れが必要です。まずは、良いことがあった時は、繰り返しその出来事を回想しましょう。記憶は繰り返し想起ことで、より思い出しやすくなります。ネガティブな記憶より、ポジティブな記憶の方を思い出しやすくしておくと、気持ちの切り替えもしやすくなるでしょう。

クロ

よく自分はネガティブ人間ですっていう人がいるが、人間は基本的にネガティブな生き物だってことだな。

SAIKORO

そうだね。人類史的に見ると、ネガティブ思考は危険を避けるため、生き残るために必要不可欠な能力だと言えるけど、現代ではそれが逆に悪影響になってる部分もあるよね。要はバランスが大事だってことだね。

コロ

ぼくも危険なことがあるとご主人に知らせるよ!カラスがベランダに止まっていたら吠えてやるんだ!

SAIKORO

うん。えらいねー。