基礎心理学

オペラント条件づけとは

オペラント条件付けとは、人や動物の自発的な行動が、報酬や罰によって強化・抑制される学習の仕組みを指します。アメリカの心理学者スキナーが提唱し、「道具的条件付け」とも呼ばれます。

特にカウンセリングや教育、子育て、行動療法の現場でも頻繁に用いられる考え方です。

1. オペラント条件付けの基本概念

用語説明
オペラント行動自発的に起こる行動(例:ボタンを押す、話しかけるなど)
弁別刺激(SD)行動の手がかりとなる刺激(例:赤信号、先生の注意喚起など)
強化刺激(強化子)行動の結果として与えられる報酬や罰のこと
強化行動の頻度を増やす働き
行動の頻度を減らす働き

2. 歴史的背景と実験例

ソーンダイクの試行錯誤学習(問題箱の実験)

  • 空腹の猫を箱に入れ、外に餌を置く
  • 猫は偶然ヒモを引いて扉が開き、餌を得る
  • 繰り返すことで、ヒモを引くまでの時間が短縮

→ 行動と結果の結びつきが強まる「効果の法則」を提唱

スキナーのスキナー箱実験

  • レバーを押すと餌が出る仕組み
  • 動物は偶然レバーを押して餌を得る
  • 経験を積むとレバーを押す頻度が増加

さらに、刺激を使い分けた弁別学習(光や音で行動をコントロール)が観察されました。

3. オペラント条件付けの重要な概念

■ 三項随伴性

「弁別刺激 → 行動 → 結果」の連続関係

例:信号が青(弁別刺激)→ 横断歩道を渡る(行動)→ 安全に道路を渡れる(結果)

4. 強化スケジュールの種類と特徴

スケジュール名内容・例特徴
連続強化毎回強化子を与える学習は早いが消去しやすい
固定比率スケジュール(FR)一定回数ごとに強化(例:10回に1回報酬)階段状の反応パターン
変動比率スケジュール(VR)回数が変動する強化(例:スロット、ガチャ)安定した高頻度の行動を促す
固定間隔スケジュール(FI)一定時間ごとに強化(例:ログインボーナス)時間経過で反応が増える
変動間隔スケジュール(VI)時間が変動する強化(例:釣りのように不規則)比較的安定した行動頻度を促す

5. 強化と罰の4つの分類

分類方法
正の強化報酬を与え行動を強化お手伝いでお菓子をもらう
正の罰不快刺激を与え行動を減らすいたずらをして怒られる
負の強化不快刺激を除去し行動を強化勉強するとゲームの禁止が解除される
負の罰報酬を除去し行動を減らす宿題しないとゲームを取り上げられる

ポイント

  • 「正」は刺激を与えること
  • 「負」は刺激を除去すること
  • 「強化」は行動を増やす
  • 「罰」は行動を減らす

6. 逃避・回避と学習性無力感

用語内容
逃避学習嫌悪刺激に直面し、逃げる行動食べた椎茸が不味くて吐き出す
回避学習嫌悪刺激に直面する前に行動して回避する椎茸を見ただけで避ける
学習性無力感逃避・回避不可能な状況が続き、行動意欲を失う何をしても改善せず諦める状態

まとめ

オペラント条件付けは、日常生活やカウンセリング、教育、動物のしつけ、行動療法など、幅広い分野で活用される重要な理論です。

「行動の結果が行動を形づくる」
この仕組みを理解することで、自分自身や他者の行動をより良い方向へ変えていく手助けができます。