公認心理師試験/臨床心理士試験対策演習問題

【心理療法】演習問題:公認心理師試験/臨床心理士試験対策

問題1次の記述 A~D の中から適切な組み合わせを、下の選択肢 a~e の中から最も適切なものを1つ選びなさい。

A. 自律訓練法は、Jacobson, E.によって開発され、筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返すことで心身のリラックスを目指す方法である。
B. 系統的脱感作法は、Wolpe, J.が開発し、リラクゼーションと不安階層表を用いて恐怖場面に段階的に曝露する方法である。
C. 漸進的筋弛緩法は、Schultz, J. H.が創始し、自己暗示によって身体的リラックスを促すことで不安を軽減する方法である。
D. シェイピングは、Skinner, B. F.のオペラント条件づけに基づき、行動を最終目標に少しずつ近づけるように形成していく技法である。

a.A C
b.A D
c.B C
d.B D
e.C D

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正答:d:B D

解説:

A. 自律訓練法は、Jacobson, E.によって開発され、筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返すことで心身のリラックスを目指す方法である。

この記述は誤りです。文中の解説は「漸進的筋弛緩法」のものであり、開発者もジェイコブソン(Jacobson, E.)です。自律訓練法(Autogenic Training)は、シュルツ(Schultz, J. H.)によって創始され、自己暗示によって心身の深いリラックス状態を導くものです。

B. 系統的脱感作法は、Wolpe, J.が開発し、リラクゼーションと不安階層表を用いて恐怖場面に段階的に曝露する方法である。

この記述は適切です。系統的脱感作法(Systematic Desensitization)は、恐怖症や不安障害の治療に用いられる行動療法の技法で、ウォルピ(Wolpe, J.)が創始しました。不安階層表(Anxiety Hierarchy)を作成し、リラックスした状態で段階的に不安刺激に曝露していきます。

C. 漸進的筋弛緩法は、Schultz, J. H.が創始し、自己暗示によって身体的リラックスを促すことで不安を軽減する方法である。

この記述は誤りです。文中の解説は「自律訓練法」のものであり、創始者もシュルツ(Schultz, J. H.)です。漸進的筋弛緩法(Progressive Muscle Relaxation)は、ジェイコブソン(Jacobson, E.)が開発した技法です。

D. シェイピングは、Skinner, B. F.のオペラント条件づけに基づき、行動を最終目標に少しずつ近づけるように形成していく技法である。

この記述は適切です。シェイピング(Shaping)は、スキナー(Skinner, B. F.)のオペラント条件づけの応用技法で、目標行動を細かく分解し、その各段階を達成するたびに強化を与えることで、徐々に目標行動を形成していく方法です。


問題2:心理療法に関する記述のうち、下の選択肢a~eの中から最も適切なものを1つ選びなさい。


a. 構成的エンカウンターグループは、ミラクルクエスチョンと呼ばれる未来志向の質問技法を活用し、参加者の問題解決能力を引き出すことを目的とする。
b. EMDRは、シェアリングと呼ばれる感情表現の相互交流を中心に、グループでトラウマの処理を目指す技法である。
c. ソリューションフォーカストアプローチでは、逆説志向と呼ばれる症状を意図的に行う宿題を出し、問題解決の糸口を探る。
d. ロゴセラピーでは、脱感作と再処理法を用いてクライエントの希望する未来像を具体化させる。
e. 心理劇(サイコドラマ)では、役割交換法や即興劇を用いて、参加者が他者や自分自身を異なる視点から体験することを促す。

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正答:e
【解説】
a. 誤り。ミラクルクエスチョンはソリューションフォーカストアプローチ(SFA)の技法であり、構成的エンカウンターグループ(CEG)では用いません。CEGは「シェアリング」などが特徴です。

b. 誤り。EMDRは個別トラウマ治療が中心であり、グループでの感情共有(シェアリング)を主軸とするものではありません。

c. 誤り。逆説志向はロゴセラピーの技法であり、ソリューションフォーカストアプローチ(SFA)とは異なります。SFAは例外探しやミラクルクエスチョンを中心とします。

d. 誤り。ロゴセラピーは「意味への意志」や「逆説志向」が中心であり、「脱感作と再処理法」はEMDRのアプローチです。

e. 正しい。心理劇は、Moreno, J. L. によって創始され、役割交換法や即興劇などを用いて、他者理解・自己理解を深める技法です。


問題3:次の記述 A~D の中から適切な組み合わせを、下の選択肢 a~e の中から最も適切なものを1つ選びなさい。

A. 夢分析は、Jung, C. G. により「無意識への王道」とされるが、特に集合的無意識の構造を明らかにするための技法として重視された。
B. 自我、防衛機制、超自我の区別は、Jung, C. G. の心理学において心的構造理解の基盤となり、特に超自我はペルソナの発達と深く関係するとされる。
C. Jung, C. G. によれば、夢は集合的無意識や元型の表現とされる。一方、Freud, S. の立場では、夢は主に幼少期の抑圧された欲望に由来すると考えられる。
D. Freud, S. の無意識と、Jung, C. G. 個人的無意識は同様の意味内容である。

a.A B
b.A D
c.B C
d.B D
e.C D

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正答:d

解説

A. 夢分析は、Jung, C. G. により「無意識への王道」とされるが、特に集合的無意識の構造を明らかにするための技法として重視された。この記述は誤りです。「無意識への王道」という言葉は、フロイト(Freud, S.)が『夢判断』の中で用いたものです。ユングも夢分析を重視しましたが、この言葉の提唱者はフロイトです。

B. 自我、防衛機制、超自我の区別は、Jung, C. G. の心理学において心的構造理解の基盤となり、特に超自我はペルソナの発達と深く関係するとされる。この記述は誤りです。自我、エス(イド)、超自我という心的構造モデルはフロイトが提唱しました。ユング(Jung, C. G.)の心的構造には、自我、個人的無意識、集合的無意識、元型、ペルソナなどが含まれます。

C. Jung, C. G. によれば、夢は集合的無意識や元型の表現とされる。一方、Freud, S. の立場では、夢は主に幼少期の抑圧された欲望に由来すると考えられる。この記述は適切です。ユングは夢を集合的無意識や元型(archetype)のメッセージとして捉えました。一方、フロイトは、夢を主に抑圧された幼少期の性的・攻撃的願望の象徴的な表現であると考えました。

D. Freud, S. の無意識と、Jung, C. G. 個人的無意識は同様の意味内容である。この記述は適切です。ユングは、フロイトが定義した無意識を「個人的無意識」と呼び、さらに全人類に普遍的に共有される「集合的無意識」の概念を加えました。そのため、フロイトの無意識は、ユングの個人的無意識とほぼ同義です。