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試験勉強中の方必見!心理学の歴史:構成主義や機能主義について分かりやすく解説

SAIKORO

今回は、資格や受験勉強を頑張っている方向けの解説です。構成主義や機能主義については、参考書を読んだだけではよく分からないと感じる方も多いのではないでしょうか。そのような方のために、少しでも分かりやすく理解できるよう嚙み砕いて解説してみました。参考になれば幸いです。

要素主義・構成主義

 要素主義・構成主義は「心は何でできているのか?」を探求した考え方です。

要素主義は主にドイツの心理学者ヴントの考え方、構成主義はヴントの弟子であるティチナーが提唱しました。

要素主義とはこころを要素の集合として捉えていこうとする考え方です。ヴントは内観法によって、意識は「基本的感覚」と「単純感情」から構成されると考えました。例えば、リンゴを見た時、「赤い」、「丸い」といった要素が基本的感覚です。「おいしそう」、「硬そう」といった要素が単純感情です。

 構成主義とは、ヴントの考え方を基にティチナーによってアメリカで提唱されました。ティチナーは、要素の組み合わせによって心的現象を理解しようとしました。ティチナーは要素として感覚、イメージ、感情をあげています。

 要素主義・構成主義は、意識は要素の結合によって構成されるという仮説に基づいています。要素主義・構成主義の基本的な考え方は同じと考えてよいでしょう。

機能主義

 機能主義は、人の意識が環境に適応する時に、どのような役割や機能を果たすのかを明らかにしようとする立場です。機能主義はプラグマティズムの影響を強く受けています。プラグマティズムとは、ダーウィンの進化論である「生存への努力の中で適者が生き残り、適応できぬ物は淘汰される」という自然淘汰説の流れをくむ考え方です。

 機能主義の代表的な人物が心理学の父とも呼ばれるアメリカのウィリアム・ジェームズです。ジェームズは、意識は要素が繋ぎ合わされたものではなく、「流れ」であると考えました。ジェームズは、人の考えはその時と場合によって、ものごとの感じ方が変わるとしています。例えば、リンゴを見てもお腹が空いている時は「おいしそう」と感じるでしょう。しかし、満腹の時では「おいしそう」とは感じないかもしれません。構成主義では、このような背景を考慮に入れられていないということで、機能主義と構成主義は当時対立していました。

 機能主義と構成主義は意識の着眼点に相違があります。構成主義が意識の内容や構造(所謂「心とは何か」)に着目したのに対して、機能主義は意識の作用や効用(「心はどのように働くのか」)に着目し立場になります。

 結果的に、アメリカ国内では機能主義の考え方が支持され、後に様々な学派に引き継がれていきました。ソーンダイクの学習心理学の発展や、ワトソンの行動主義は機能主義の流れを組んでいます。

補足

 当時、構成主義に反論した学派は機能主義だけではありませんでした。ヴェルトハマーのゲシュタルト心理学は、人間の精神は要素の寄せ集めでは無く、全体性が重要であるとしました。ゲシュタルト心理学の基本的な考え方は、「人がもの事を認識するときは、部分の理解を積み重ねて全体を認識するのではなく、全体を捉えて認識する」ということです。例えば、曲やメロディを聴いている時、一つ一つの音階やピアノの音、ドラムの音などそれぞれ個別の音が寄せ集まったものとは捉えず、それらの音をまとめてメロディとして認識しています。

 ゲシュタルト心理学は後に知覚心理学や社会心理学、認知心理学に大きな影響を与えています。反面、構成主義はティチナー以降、影響力を失うこととなりました。

SAIKORO

構成主義や機能主義、そしてゲシュタルト心理学の考えの違いは理解できたでしょうか?現代心理学を理解するうえで、心理学創世期にどのような考え方があったかを知っておくことで、整理もしやすくなるかと思います。