公認心理師及び臨床心理士試験、臨床心理士指定大学院受験を目指す人のための用語説明コーナーです。今回は愛着理論に関する様々な研究について解説していきます。
ボウルビィの愛着理論
乳児が母親などの特別な対象に対して持つ情緒的な結びつきのことを言います。愛着は以下の4段階で構成されているとしています。
①誰に対しても同じように反応する段階(生後8~12週)
②特定の対象に愛着を抱き、そうでない相手には人見知りをする段階(生後12週~6カ月)
③特定の対象に愛着が形成され、接触や後追いなどなどが見られる段階(生後6カ月~2,3歳)
➃特定の対象との身体的な近接を必ずしも必要としなくなる段階(3歳以降)
母性剝奪(マターナルディプリベーション)
ボウルビィが施設や病院で養育された子どもを対象にした調査で発見されたものです。特定の母性的養育者の喪失により、乳幼児の身体面、情緒面、知的面、社会面、人格面等の様々な発達に障害が引き起こされることが分かりました。また、スピッツは生後6カ月~12カ月の乳幼児が母親から引き離されると次第に泣きやすく気難しくなり、睡眠障害や体重減少が見られるとしました。さらに3カ月以上経つと、周囲の状況に対する反応が減退し、無表情や運動の緩慢が見られるようになったと示しました。
内的ワーキングモデル
子どもが乳幼児期の養育者との愛着関係や養育経験に基づいて、他者イメージや信念を確立さえていくことを言います。ボウルビィが提唱し、発達早期の養育者との関係が、成人になってからの対人関係にも大きな影響を与えるとしてました。
ハーローの代理母実験
ハーローは哺乳器の付いた針金製と布製の代理母模型を作り、子猿の行動を観察しました。子猿は針金製の模型よりも布製の代理母模型です過ごす時間が長くなりました。これにより、哺乳類の愛着行動は、飢えなどの一時欲求を満たす対象にのみ向けられるものではないことが明らかにないりました。
ストレンジシチュエーション
エインズワースによって行われた乳幼児の母親への愛着行動の質を明らかにする実験です。乳児と母親、見知らぬ人が部屋に入り、母親や見知らぬ人が出入りする際に見せる乳児の反応を観察します。この実験の結果、乳児の行動は以下の4種類に分類されることが示されました。
安定型(B型):母親が出ていくと不安になり、帰ってくると比較的すぐに安定
回避型(A型):母親が出て行っても戻ってきても気にも留めない
アンビバレント型(C型):母親が出ていくと情緒が不安定になり、帰ってきても情緒不安定なまま
無秩序型(D型):母親が帰ってくると顔を背けて近づくなど相反する行動をとる
最後のストレンジシチュエーションの行動分類は、安定型が「B型」、回避型「A型」なので注意しましょう。愛着理論は試験でも頻出問題ですし、近年では愛着研究が再注目されています。今のうちにきちんと整理しておきましょう。