心理職資格・大学院受験情報

試験対策用語説明-注意-

SAIKORO

公認心理師及び臨床心理士試験、臨床心理士指定大学院受験を目指す人のための用語説明コーナーです。今回は注意について解説していきます。

注意の種類

・空間的注意:空間上にある特定の場所に向ける注意

・選択的注意:複数の情報から必要な情報を選びだす注意

・集中的注意:特定の対象に向ける注意

・分割的注意:複数の対象に同時に向ける注意

選択的注意の実験

両耳分離聴課題

 チェリーが行った左右の耳に別のメッセージをヘッドフォンで流し、聞こえたメッセージを追唱してもらう実験です。通常、左右両方から入った情報は、同時には聞き取れませんが、どちらかの情報であれば、聞き取り追唱することができます。チェリーは追唱しない方の耳にブザーを聞かせると、片耳からの追従ができるだけでなく、反対の耳からのブザーの音にも気づくことができました。このことから、注意を向けられなかった方の耳からの情報も、意味処理は難しくても、ある程度の変化に気づくことができることが分かりました。

フィルター仮説(モデル)

 フィルターモデルとも言われます。ブロードベントの選択的中を記憶モデルに取り入れた考え方です。ブロードベントは、チェリーの両耳分離聴課題をもとに、感覚器官から入ってきた情報が、選択的注意を向けられることによって短期記憶や長期記憶に移行することをモデル化しました。感覚器官に入ってきた情報はすべて処理され、その中から選択的注意を向けられた情報が記憶(短期記憶や長期記憶)に残ります。逆に、注意を向けられなかった情報は、短期記憶や長期記憶に残りません。

 フィルター仮説は、ブロードベント以後、様々な追従実験が行われています。

後期選択説

 ブロードベントのモデルでは、自分に必要のない情報は選択的注意というフィルターによって無視されるということを表しています(前期選択説)。一方、ドイチェが提唱する後期選択説では、入力された情報は短期記憶までは到達し、その後、フィルターを通して情報を記憶するかどうかの処理されるというものです。

減衰説

 トイライスマンの提唱する減衰説は、注意を向けていなくても、ある程度は記憶しているという仮説です。例えば、勉強を教えてもらっている兄よりも、隣で遊んでいる弟の方が内容を覚えていることがあるのは、減衰説によるものかもしれません。

カクテルパーティ効果

 私たちはパーティ会場のように、多くの会話が飛び交う中でも、特定の会話に加わりその内容理解することができます。このような1つの対象に注意を集中させることができるという現象をカクテルパーティ効果といいます。

SAIKORO

選択的注意は頻出問題です。特にカクテルパーティ効果はかなりの頻度で出題されていますので、しっかり覚えておきましょう。