心理職資格・大学院受験情報

試験対策用語説明-アイデンティティステータス-

SAIKORO

公認心理師及び臨床心理士試験、臨床心理士指定大学院受験を目指す人のための用語説明コーナーです。今回はマーシャの提唱したアイデンティティステータス(自我同一性地位)について解説していきます。

 マーシャはエリクソンが提唱したアイデンティティをさらに追及していきました。マーシャはアイデンティティを危機と積極的関与という言葉を使って説明しました。

 危機とは「自分らしさとは何か?」、「人生をどう生きていくのか?」といった自分の方向性を悩んだり探索していく経験のことです。積極的関与とは、目標に向けて実際に行動や努力をしていくことです。

 アイデンティティステータスは4つの段階に分けられます。

1.同一性達成

 危機を経験し積極的関与もしている状態です。人生に向き合い目標に向かって努力や行動ができている状態です。(例:医者になるか弁護士になるか悩んだ末、医者になることを決意し、医学部に入るために勉強を頑張っている)

2.モラトリアム

 危機の最中であり積極的関与もしようとしている状態です。様々な選択肢に迷っている最中のことです。その状態を克服しようと努力しています。(例:医者を目指すか弁護士になるか迷っている状態。ただ、どちらにせよ学力が必要なので勉強は継続している)

3.早期完了

危機を体験せず、積極的に関与している状態です。自分の目標と周囲の期待との間に不協和が無く、将来の目指す方向が定まっている状態です。(例:医者の家系に生まれたので自分も医者になる)

4.同一性拡散

 危機の経験の有無で少し状態が変化しますが、いずれにせよ積極的関与は行えていない状態です。危機の経験をしていない場合は、自分が何をしたいのか定まっておらず、具体的な行動も起こせていない状態です。「例:特にやりたいことが有るわけではなく、何となく大学に進学して何となく就職している」

 危機を経験している場合は、具体的に行動を起こしているわけではありませんが、将来のあらゆる可能性を持ったままにしている状態です。(例:医者にも弁護士にもパイロットにもなれる可能性が自分にはあると思っている。ただし、そのための勉強や努力はしていない)

SAIKORO

エリクソンは人生の中でも青年期を特に重要視しており、エリクソンから影響を受けたマーシャもアイデンティティについて深堀しています。アイデンティティ関連の話題は、試験問題でもよく見かけるので、しっかり把握しておきましょう。