心理学

人は死ぬまで成長できる!エリクソンの心理発達理論

SAIKORO

今回はエリック・エリソンの有名な理論であるライフサイクル理論について解説していきます。人が成長するために必要な要素とは何なのか。そのヒントが見つかるかもしれません。

エリクソンのライフサイクル理論とは

 エリクソンは人間の誕生から老年に至るまでの8つの発達段階があると主張しました。人は一つの段階が終わるたびに次の心理的な危機が訪れ、アイデンティティ(自分自身)に対する疑問が生じるようになり、成長や停滞を繰り返すとしています。そして、各段階で選択した一つ一つがやがて成人になった時の人格構造の基礎になるとしました。それではその8つの発達段階とはどのようなものなのか見ていきましょう。

1.乳児期:信頼vs不信

第一段階は、出生から1歳の間で起こる最も基本的な信頼の段階です。乳児期の人間は、食事や安全、愛情など成長に必要なものすべてを外部の大人に依存しています。養育者が十分に子供の世話に取り組むことができれば、子どもは世界を安心して捉えることができるようになります。反面、十分な世話ができなければ、不信感が勝り「予測できない世界」として、周囲を怖がるようになるかもしれません。ここで気を付けなければならないことは、養育者が子どもの要求に100%答えなければならないというわけではないということです。要求にうまく応えられた割合とうまくいかなかった割合で前者が勝っていれば、十分に子どもは信頼感を得ることができるとのことです。

2.幼児期:自律vs恥と疑惑

第二段階は2~3歳頃に起こります。この時期は独歩が可能となり、身体的にも自分の意志で行動できるようになります。この中で、子どもたちは様々な自己コントロールを学んでいくこととなります。最も大きなイベントがトイレットトレーニングです。トイレを我慢したり時には失敗することを繰り返して、自己コントロール感や独立感を身に付けていきます。うまく乗り越えることができれば、自律心に繋がり、失敗すれば恥や疑いの感情を強める結果となります。

3.就学前期:積極性vs罪悪感

 3歳~5歳頃になると、家族以外の人との関わりも増えてきます。そのような中での遊びや人間関係を通して、自己主張をしたり主張を跳ね除けられる経験をしていきます。第3段階の大きなテーマは、積極的な自己主張とそれを阻害される経験からの罪悪感です。罪悪感は反省を生みます。積極性を出しつつ、反省を繰り返すことでバランスを調整していく術を身に付けていきます。

4.児童期:勤勉vs劣等感

 小学校に入学する段階になると、同年代との勉強や運動能力を比較されるようになります。この時期に親や教師から励まされたり称賛される子どもは、自信を持てるようになります。反対に、周囲から励ましを受けられない子どもは劣等感が強まります。

5.青年期:同一性vs同一性拡散

 第5段階は10代の半ばごろから20前後に起こります。この段階では、その後の発達や行動に影響を与え続けるアイデンティティの感覚を身に付けるうえで不可欠な役割を果たします。思春期になると、子どもは自立心が強まり、「自分が何を考え、どうしたいのか」といった自己感覚を発達させていきます。このような中で、自分自身を探求し、周囲からの適切な励ましや助言を得ることで自分なりの信念や理想、価値観といったアイデンティ(同一性)を生成していきます。うまくアイデンティティが練り上げられないと、将来に対する不安や混乱を感じやすくなるでしょう。

 エリクソンによると、アイデンティティは周囲の人との日々のやり取りで得た経験や情報によって絶えず変化していくとのことです。新しい経験を積むことが、アイデンティティの発達に繋がったり崩壊したりを繰り返し、徐々に自分なりの落としどころを模索していくのです。

6.成人期:親密vs孤独

 20代前半から40歳頃までが第6段階になります。他者との親密で愛情深い関係を築くことがテーマとなります。一般的に見ても、ちょうど結婚を意識する年齢層ではないでしょうか。この時期に他者と濃密な関係性を築き上げることができなければ、孤立や孤独感にさいなまれ可能性が高いとしています。

7.中年期:生殖vs停滞

40代~60歳頃が第7段階です。この年代になると、子どもを育てたり、部下を指導する側になる等、後進の育成に差し掛かる年代になります。家庭のことや自身のキャリアについて悩みやすいのもこの時期でしょう。この段階がうまくいけば、有用感や達成感に繋がります。反面、停滞とは社会に貢献する方法を見つけられなかったことを言います。具体的には他者とのかかわりを避けたり、自己中心的であったり、生産性自体に興味が無いといったことです。

8.老年期:統合vs絶望

 最後の段階では、老後に差し掛かり人生を振り返ることがテーマになります。自身の人生に満足できているか、後悔していることは無いかなどを判断していきます。満足した人生を送れたと感じる人は、何の憂いもなく人生を終わらせる準備ができるでしょう。後悔を残した人は、老後の生き方に暗い影を落としてしまうかもしれません。

SAIKORO

エリクソンの理論では、人生の各年代に立ちはだかる壁を乗り越えていくことが、人としての成長につながるとしています。

コロ

死ぬまで成長しなきゃいけないなんてにんげんってめんどくさいね!ぼくは犬で良かったよ。

SAIKORO

・・・そうかもね。

クロ

犬の発達段階を表すとどうなるだろうな?

コロ

食べる!寝る!遊ぶ!繁殖!

SAIKORO

わかりやすい!