発達心理学

マーシャのアイデンティティ・ステータス理論

 マーシャ(J.E. Marcia)は、エリクソンのアイデンティティ理論をさらに発展させ、青年期の「自我同一性(アイデンティティ)」の発達を4つのタイプ(アイデンティティ・ステータス)に分類しました。

マーシャは特に「危機」と「積極的関与」という2つの要素でアイデンティティの状態を捉えています。

危機(Crisis)とは?

「自分らしさとは何か」「どう生きるか」といった人生の方向性を深く悩んだり、模索する経験のことを指します。

積極的関与(Commitment)とは?

人生の目標や進路に対し、行動や努力を通して積極的に関わっている状態のことです。

アイデンティティ・ステータスの4分類

ステータス危機積極的関与状態の特徴
同一性達成ありあり十分に悩み、模索したうえで目標を定め、努力している「医者になるか弁護士になるか迷ったが、医者を目指し医学部受験の勉強をしている」
モラトリアムありなし〜一部あり現在進行形で悩んでいる最中。行動も模索中。「色々な選択肢で迷いながら、学力だけはつけようと勉強している」
早期完了なしあり深く悩まず目標を受け入れて進んでいる「親が医者なので特に迷わず医者を目指している」
同一性拡散なし or ありなし目標が定まらず、行動も起こしていない「何もやりたいことがなく、何となく進学し何となく就職している」

【補足】同一性拡散の2パターン

  • 危機「なし」× 関与「なし」:そもそも何も考えていない
  • 危機「あり」× 関与「なし」:悩んでいるが行動に移せていない(例:「いろんな可能性がある」と考えるが何も行動しない)

試験対策ポイントまとめ

臨床心理士・公認心理師試験の頻出テーマです!

「危機」と「積極的関与」の有無で分類される

「モラトリアム=悩んでいる途中」「早期完了=悩まず決めた」と覚えると便利

同一性達成は最も成熟した状態とされる